プラズマアクチュエータが流れを操作するメカニズムである電気流体力場の全容を解明することを目的とし,流れ場の計測結果と数値シミュレーションを用いたデータ同化により電気流体力場を推定する手法の研究に取り組んだ.まずは手法の有効性を実証し,推定に必要な計測データとデータ同化の条件を明らかにするため,数値シミュレーションのみを用いた双子実験を行った.この時,電気流体力場分布をガウス分布として仮定した.プラズマアクチュエータが誘起する流れはガウス分布の電気流体力場で十分に再現可能であると報告されており,またシンプルなガウス分布として電気流体力場をモデル化することは,工学的にも有用である.データ同化に用いた流れ場の情報は,実験におけるPIV計測とBOS計測を想定し,流速ベクトル分布と密度分布を与えた.結果,データ同化により電気流体力場の強度と分布広がりをデータ同化により推定することに成功し,手法の妥当性を実証することに成功した.また大きな成果として,同化には密度場情報のみで十分であることを示すことができた.BOS計測はPIV計測よりもセッティングが容易であり,シーディング粒子のプラズマによる帯電の影響も受けないため,密度場情報のみから同化が可能であることは有用な知見である.実験結果をもとに同化するため,必要な計測データの解像度や精度について明らかにすることが今後の課題である.また,電気流体力場に加えて放電による加熱場も推定することも試みたが,推定することができなかった.これは,少なくともプラズマアクチュエータを定常的に駆動した場合には,加熱場が流れに与える影響が僅かなためと考えられる.
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