研究課題/領域番号 |
19H02066
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
梶島 岳夫 大阪大学, 工学研究科, 教授 (30185772)
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研究分担者 |
竹内 伸太郎 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (50372628)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 流体工学 / 混相流 / 乱流 / 粒子 / 数値シミュレーション |
研究実績の概要 |
混相流と乱流の物理モデルの統合を目標として、混相および乱れに対して明示的に定義された共通の空間フィルターで粗視化する統合平均方程式を構築する。これまでに実施されている混相乱流のラージ エディ シミュレーション(LES)では、乱流と混相に対してそれぞれの従来型モデルが流用・結合されるのが現状であり、混相乱流としての統一的な扱いは完成されていない。そこで、検査体積と各相体積率の変化を考慮した統合平均の方法を提案するための研究を開始した。 2020年度の研究成果は以下のとおりである:(1)分散性混相乱流のLESの統合平均方程式を導くベースとして、単相乱流のLESに対して、直接計算する大規模変動と物理モデルを与える小規模変動の割合が計算格子によって変化することを考慮した1方程式型サブグリッドスケール(SGS)モデルを導出し、その有効性を示した;(2)大規模直接数値計算(DNS)によるデータベースの作成については、2019年度に作成した単相乱流に加えて、2020年度以降は固液二相流に拡張する予定であったが、計算を安定化させるために時間を要したため、2021年7月まで繰り越し申請してコードを完成させた;(3)高濃度の固液二相流を扱うためには固体粒子間の狭隘流路におけるスクイズ流れの影響が大きくなるので、潤滑が支配的な流れ場まで適用できるよう、独自の拡張潤滑モデルを組み込んで埋め込み境界法を発展させた;(4)混相乱流の統一的な平均化方程式の構築に向けては、粒子の表面応力の非等方性を考慮した粒子-流体の相互作用モデルを導き、実際の数値計算で有効性を確認した結果を研究協力者とともに公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究期間の前半3年間において、単相乱流、固液二相乱流、さらに固液二相乱流伝熱に関するDNSデータベースを構築する計画であったが、2年目の2020年度は固液二相に対する計算の不安定を解消するために手間取り、2021年7月まで繰り越し申請してプログラムを完成させた。
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今後の研究の推進方策 |
分散性混相乱流のラージ エディ シミュレーション(LES)の基盤として、混相と乱流に対して共通の空間フィルターを施して粗視化し、固液混相乱流伝熱まで視野に入れて統合平均方程式を導く研究を当初の計画通り進める。今後は、2019年度に実施した単相乱流のLESにおける空間フィルター形式の検討結果をもとに混相へ展開し、DNSデータベースにより検証する。2020年度に構築した固液二相乱流のDNSのプログラムに対して、2021年度は伝熱モデルを組み込み、研究期間の前半終了時(2021年度末)のうちに上記目的に供するデータベースを蓄積する。 そのため、格子幅と同等の径をもつ粒子に対する局所体積平均法、格子幅の数倍以上の径をもつ粒子に対する埋め込み境界法など、すでに研究代表者・分担者らが考案した方法を拡張し、両者を乱流のLESに用いられる空間フィルター形式で統一できるように再構築する。DNSデータベースを活用して、統合平均に適したフィルター幅や搭載すべき乱流モデルおよび混相流モデルとして適した数理モデルを選定・評価できる環境整備を行う。研究期間の終了予定時(2025年度末)までに、本研究で発展させる手法の有用性を示すため、運動量と熱の非相似乱流輸送機構の素過程を解析する。
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