研究課題/領域番号 |
19H02069
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
須賀 一彦 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60374089)
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研究分担者 |
桑田 祐丞 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40772851)
金田 昌之 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50346855)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 乱流 / 多孔体 / 流動抵抗 / 透過率 / 数値解析 / 流動計測 |
研究実績の概要 |
多孔体界面上ではケルビン・ヘルムホルツ(K-H)不安定波が発生し発達するが,これが多孔体界面での乱流摩擦抵抗を極端に増大させる原因となる.本研究では多孔体のヘテロ構造により,このK-H波を抑制し,飛躍的な抵抗低減機能を持った流動界面を創出し実証することを目的として研究を進めている.2019年度は独自開発の高精度LBMを用い,多孔体構造を詳細に解像した直接数値解析により,ヘテロ性と消波効果に関する流動機構の力学的解明を進めた.同時に同様な構造の多孔体を制作し,その多孔体界面流動の詳細なPIV流動計測実験から数値解析で得られた効果を実証することを進めた.検討した多孔体界面構造は,1)部分的に非透過にした構造,2)主流方向に透過率が変化する構造,の2種類について数値解析と実験を行った.なお,いずれの構造もK-H波の波長を考慮して波と干渉するように決定した. 2019年度の研究から得られた知見は,1)部分的に非透過にすると非透過部分でK-H波は干渉し減衰するが,透過部で再発達を繰り返す.その結果,面積比で換算すると全面透過性の構造より流動抵抗は最大で1.5割程度減少することが実験と計算の両方から確認できた.これは,スペクトル解析や2点相関からも裏付けられている.つぎに2)主流方向に透過率を変化させると,数値計算では1)の場合と同様の効果が表れたが,実験では表面構造のみ透過率が変化するように作成したため,数値計算の傾向は明確に確認することができなかった.このことから,多孔質内部へのペネトレーションの効果は速度場平均量では浅いが,圧力場では深いことを考慮して多孔体の構造設計をしなければならないことを意味している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多孔体を効果あるヘテロ化構造とするためには,まず,部分的な非一様化で知見を得て,発展させることが重要と考えるので,2019年度は数値解析も計測実験も予定項目の検討がはぼ満足に進められており,得られた知見も2020年度以降につながるものであるので,おおむね順調に研究は進んでいると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度から引き続いて,我々が独自に開発してきた格子ボルツマン法を搭載し,GPUマシン用に超並列化した独自の計算コードPOLAS-3D GT3を用い,ヘテロ構造多孔体界面流れを超高解像度で直接解析する計算を継続する.主題となるヘテロ構造は多孔体の透過率を非等方かつ,主流方向に不連続な流動抵抗を実現することで消波工効果を持たせるようなものを引き続いて探索するが,それとは別に,CTスキャンををとって実際の発泡多孔体をデジタル再構築したデータを用い,実験に対応した多孔体内部にブロックを埋め込んだモデルの界面乱流解析から,消波ブロックによるケルビン-ヘルムホルツ(K-H)波の消波をシミュレートする.計算結果のスペクトル解析などを行うことでK-H波の消波工効果の最適条件の発見を目指すと同時に,K-H波の生成-消波メカニズムの解明とその消波理論の確立を目指したデータ解析を試みる. 数値解析と並行して,実験でも計算で対象としたヘテロ構造多孔体の界面流れや消波ブロックを埋め込んだ多孔体のをPIV計測し,実現性を実証する実験を継続する.実験では,数値解析が困難なより高いRe数の条件を含めて検討する.
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