研究実績の概要 |
本研究では,複雑ネットワークや同期現象などを取り扱う先進的な複雑系科学の基礎理論を導入し,燃焼振動の時空間ダイナミックスと非線形相互作用の基礎的解明を主目的とする.また,機械学習を用いた燃焼振動の新しい予兆検知法を提案し,本研究の工学的な応用展開の可能性を明らかにすることも目的とする.最終年度では,以下の5点を明らかにした.
(1)熱音響ネットワークの強度とクラスター係数は,燃焼振動の時空ダイナミクスの解明に有用である.(2)乱流ネットワークのコミュニティー解析は,燃焼振動の形成において重要となるせん断層領域の渦挙動の取り扱いに有用である.(3)レーリーインデックスの概念を組み込んだ空間ネットワークの情報エントロピーは,燃焼振動の駆動領域の推定に有効である.(4)臨界減速が燃焼振動の前兆現象として現れる.(5)符号化されたリカレンスプロットは,燃焼振動の抑制過程における位相同期状態の消失を捉えることが可能である.(6)リザーバーコンピューティングは,燃焼振動の抑制過程における圧力変動のダイナミクスの短期的予測に有効である.
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