人体装着型発電機の最適設計を目的に,摩擦自転型発電機の理論解析を行った.発電機の4つの自由度である,入力角,歳差角,自転速度,ジンバル傾斜角をすべて計測できる実験装置を製作した.これを用いて入力反転時にジンバル傾斜が振動し,歳差が急停止し,自転が僅かに減少することを見出した.これを単純化し,歳差は完全非弾性衝突,自転は不連続変化とするモデルを考案した.自転低下を無視した計算では,歳差と自転の波形は定性的に実験と一致するが,自転速度は最大2.5倍大きくなった.自転の低下を0.5%とすると計算値は実験値と一致した.これに基づき,ジンバルにストッパを設けて損失を低減した.体積0.85Lのプロトタイプを製作し,入力振動1.7Hz,110degで1.73Wを発電し,空調服を駆動した. ジャイロ発電機の波力発電への適用可能性を検証するため,モータ自転型により,造波水槽で実験した.FWφ150,自転1500rpm,本体質量2.1kg,ブイを含めた全浮体は体積25cm角,質量3.2kgである.深さ4.5mの水槽で波高10cm,周期1.5secの波を作り,0.6Wを発電した. 波力発電ブイの高効率化を目的に,歯車自転型発電機を製作した.前年度の回転増速機構に磁石32個,コイル4個を搭載した.入力振動が40度,0.5Hzのとき0.14Wを発電した.発電量が小さい理由は,製作を容易にするため,増速比をN=3と小さくしたためである.前年度に求めた理論式から,定常状態の発電量を求める簡易式を導いた.最適設計した場合の発電量は,FWφ600mm,20kg,入力振動10度0.17Hz,ギヤ比50のとき,10Wの発電となった.
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