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2020 年度 実績報告書

コンポジットとスーパーキャパシタによるソフトアクチュエータ高発生力化技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19H02094
研究機関岐阜大学

研究代表者

佐々木 実  岐阜大学, 工学部, 教授 (20183379)

研究分担者 新田 高洋  岐阜大学, 工学部, 准教授 (20402216)
内藤 圭史  岐阜大学, 工学部, 助教 (50759339)
玉川 浩久  岐阜大学, 工学部, 准教授 (60324282)
永井 学志  岐阜大学, 工学部, 准教授 (90334359)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードソフトアクチュエータ / 誘電エラストマーアクチュエータ / コンポジット / スーパーキャパシタ / チタン酸バリウム / ナノクレイ / カーボンナノチューブ
研究実績の概要

本研究は,ソフトアクチュエータの一種である誘電エラストマーアクチュエータ(DEA)の実用化を阻む本質的問題点(低発生力)を解決することを目的に,「高剛性化」,「低起動電界化」,「高絶縁耐力化」に基づく入力電界範囲拡張を目指すものであり,「①高誘電粉体のマイクロコンポジットによる高剛性化・低起動電界化」および「②ナノクレイのナノコンポジットによる変形層の高絶縁耐力化」,「③電極層のスーパーキャパシタ化による低起動電界化」の3つのテーマから成る.
第2年度は,主に上記の②を実施する計画になっており,計画通り,これに取り組んだ.具体的には,誘電エラストマー(本研究ではポリウレタン(PU)を使用)にナノクレイを充填することにより,電場印加時の電気トリー進展の抑制,ひいては,高絶縁耐力化を試みた.残念ながら,現状では,ナノクレイを3vol%程度まで段階的に充填したが,高絶縁耐力化の兆候は見られていない.
また,前年に引き続き,上記①にも取り組んだ.その結果,PUに誘電粉体(本研究ではチタン酸バリウム粒子を使用)を充填することにより,誘電率(この値が高い方がDEAは高発生力化)および駆動量指標(規格化誘電率を規格化ヤング率で除した値,この値が高い方がDEAの駆動ひずみが大きい)が,ともに上昇することが明らかとなった.また,誘電粉体の充填率が30vol%程度までは,DEAのひずみ(実測値)が予測値よりも高くなることも明らかとなった.さらには,PUに誘電粉体を充填する際に,分散剤を添加することにより,絶縁耐力が低下する一方,最大ひずみが高まることを見出した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上記②に関しては,高絶縁耐力化のためにナノクレイを充填したPU(誘電エラストマー)を作製し,その絶縁破壊電場を調べた.現状では残念ながら,ナノクレイを3vol%程度まで段階的に充填したが,高絶縁耐力化の兆候は見られていない.但し,使用するナノクレイの極性の大小がDEAの絶縁破壊に影響を与えている可能性を見出した.また,顕微鏡観察により,ナノクレイの分散性に問題がある可能性が浮上したため,最終年度はこれらの点の改善,ひいては,高絶縁耐力化にも取り組む.
上記①に関しては,PUにチタン酸バリウム粒子(誘電粉体)を充填することにより,DEAの誘電率(この値が高い方がDEAは高発生力化)および駆動量指標(規格化誘電率を規格化ヤング率で除した値,この値が高い方がDEAの駆動ひずみが大きい)が,ともに上昇することが明らかとなった.また,チタン酸バリウム粒子の充填率が30vol%程度までは,DEAのひずみ(実測値)が予測値よりも高くなることも明らかとなった.さらには,PUにチタン酸バリウム粒子を充填する際に,分散剤(一種の界面活性剤)を添加することにより,絶縁耐力が低下する一方,最大ひずみが高まることを見出した.これに関しては,分散剤により誘電粉体の分散性が向上しDEAの誘電率が向上した可能性と,分散剤が可塑剤の様に働きDEAのヤング率が低下した可能性の2つが考えられる.最終年度はこの点に関しても検証し,DEAの高発生力化に繋げる.

今後の研究の推進方策

エラストマー表面にスーパーキャパシタを取り付けてDEAの低起動電界化を達成したうえで,電極の表面積と誘起電荷ひいてはDEAの発生力との関係を明らかとする.その際,スーパーキャパシタは化学気相成長(CVD)により基板に垂直配向させたカーボンナノチューブ(CNTフォレスト)を,エラストマーに転写する方法により作製する.つまり,前年までの研究成果であるマイクロ・ナノコンポジット変形層の表面にCNTフォレストを取り付け,目的のDEAを完成させる.さらに作成したアクチュエータのモデル化を行い,コントローラを設計し,その有効性について検討をおこなう.さらに電流制御回路の設計と実装化を行い,制御実験をおこない,その有効性について検討を行う.その研究成果について,学会発表と論文投稿をおこない,一連の成果を報告書にまとめ,HP等で公表・広報活動を積極的に行う.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)

  • [雑誌論文] Linear-Quadratic Regulator for Control of Multi-Wall Carbon Nanotube/Polydimethylsiloxane Based Conical Dielectric Elastomer Actuators2020

    • 著者名/発表者名
      Mulembo Titus、Njeri Waweru、Nagai Gakuji、Tamagawa Hirohisa、Naito Keishi、Nitta Takahiro、Sasaki Minoru
    • 雑誌名

      Actuators

      巻: 9 ページ: 18~18

    • DOI

      10.3390/act9010018

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Linear Quadratic integral control of multiwall carbon nanotube-based Conical Dielectric Elastomer Actuator2020

    • 著者名/発表者名
      Titus Mulembo, Waweru Njeri, Gakuji Nagai, Hirohisa Tamagawa, Keishi Naito, Takahiro Nitta and Minoru Sasaki
    • 雑誌名

      Journal of Sustainable Research in Engineering

      巻: Volume 6, Issue 3 ページ: 1-10

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

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公開日: 2021-12-27  

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