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2019 年度 実績報告書

オプト・ケモロボットを用いたマルチスケール細胞解析システム

研究課題

研究課題/領域番号 19H02096
研究機関名古屋大学

研究代表者

丸山 央峰  名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (60377843)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードナノ・マイクロメカトロニクス
研究実績の概要

今年度は,カプセル型オプト・ケモロボットについて,(1)計測用の蛍光色素の光退色の影響を低減したハイドロゲル製の環境計測機能付きオプト・ケモロボットの作製,(2)異なる複数の波長の光を用いたカプセル型オプト・ケモロボットについて,1064 nmのレーザでの光操作と808 nmのレーザでの光加熱による細胞内へのロボットの選択的導入法について,細胞導入時間,細胞内導入の成功率,導入した細胞の生存率の評価,について研究を行った.
(1)については,9%の低濃度ハイドロゲル(ポリエチレングリコールジアクリレート)製の数~数十umのマイクロカプセルに温度感受性を有する蛍光色素のRhodamne Bを導入して作製した.直径20 umのカプセルに対して,同程度の直径のポリスチレンビーズおよび99%のポリエチレングリコールジアクリレート製のカプセルで,露光時間1秒,インターバル9秒で計測毎の蛍光強度変化を比較したところ,9%のポリエチレングリコールジアクリレート製のカプセルのみ,カプセル内での蛍光回復現象により光退色が補償でき,100回の計測後も蛍光強度の変化が1%程度であった.また蛍光回復に適した条件を探索し,条件を明らかにした.

(2)については,直径1 umのポリスチレン微粒子に808 nmの波長を特異的に吸収する色素を導入したカプセル型ロボットを作製し,1064 nmと808 nmのレーザ照射によるロボットの加熱特性の違いを評価するとともに,犬の腎臓細胞のMDCKを対象として,1064 nmのレーザによる光ピンセットによりロボットをMDCKの細胞膜上へ搬送し,808 nmのレーザによる加熱で細胞膜を融解させロボットを細胞質へ導入することに成功した.10回の実験結果より,10秒のレーザ加熱により,70%の成功率での導入に成功し,導入した細胞が100%の生存率であることを確認した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

カプセル型オプト・ケムロボットで対象としている,細胞内の長期間の環境計測において,蛍光回復現象を用いた光退色補償による長期間環境計測,異なる複数の波長のレーザを用いたロボットの操作と選択的細胞導入,の2つの重要な技術の確立に成功したことは本研究課題の達成にむけて意義が大きい.またこれらの技術はチップ型オプト・ケムロボットにも適用可能であることも今後の研究に向けて大きく貢献することが期待される.

今後の研究の推進方策

今後は,細胞導入に用いるカプセル型オプト・ケムロボットの材料をポリスチレンからポリエチレングリコールジアクリレートの低濃度ハイドロゲルに変更し,細胞内での長期間環境計測を可能にするとともに,チップ型オプト・ケムロボットに蛍光回復現象による光退色補償を適用し,集団細胞近傍の環境計測を行う.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 波長選択的レーザ操作・加熱による光環境センサの高速細胞導入2019

    • 著者名/発表者名
      柳川亮太,丸山央峰,新井史人
    • 学会等名
      RSJ2019
  • [学会発表] Fluorescence Microsensor Using Near-Infrared Light for Physiological Measurement inside Tissue2019

    • 著者名/発表者名
      Hisataka Maruyama, Taisuke Masuda, Weng Ruixuan, Wang Zhaoyu, Eiji Tokai, Fumihito Arai
    • 学会等名
      MHS2019
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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