研究実績の概要 |
A)理論・アルゴリズムの構築 動的環境における線分ベースのMHE-SLAM(Moving Horizon Estimation based SLAM)について,前年度の課題である線分地図の端点の推定性能向上に引き続き取り組んだ.遮蔽やノイズにより線分地図の端点の正確な座標を求め追跡することは容易ではないが,物体が線分方向にも移動することを想定する本研究では,端点を精度よく推定・追跡する必要がある.そこで,確率的な物体追跡の手法であるProbabilistic Data Association Filterの原理を取り入れたMHEによる端点の推定手法を開発し,SLAMへの実装として学会で発表した(石川他, MSCS2021).その手法の原理となるPDAFベースのMHEについては,特徴点の物体追跡として論文にまとめ,雑誌論文(Kikuchi et al.,JRM,Vol.32, No.3)として発表できた.さらに特徴点のロバストな物体追跡として人工ポテンシャル場を組み込んだ手法を人混みでのビークルの追跡に適用し,その結果を国際会議(Abe et al.,IFAC2020 World congress)にて発表した.加えて,点群データから人の外形と位置をパラメトリック推定する手法の研究にも取り組み,従来法と比較して改善できることを確認した. B)電動車いすによる屋内環境での検証 MHE-SLAMの地図構築について屋内環境での実験を実施し,おおむね地図構築に成功している.さらに,実時間実装のためにMHE-SLAM自体の計算速度向上にも取り組み,並列計算による高速化もある程度行うことができた.また,特徴量が少ない環境での推定精度改善のための手法を構築して発表した(和田他,MSCS2021). C)乗用車による市街地での検証 実験用の自動車に搭載した全方位LiDARとGNSSによるSLAMを実施するための手法の構築に取り組み,LiDARやGNSSによるデータが取得できない環境での頑強性を高める手法を開発した.さらに位置補正の制約をMHEに組み込んだ手法を開発して発表した(藤間,MSCS2021)
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