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2020 年度 実績報告書

超高速分子ディスプレイを用いた分子知能機械の研究

研究課題

研究課題/領域番号 19H02100
研究機関弘前大学

研究代表者

星野 隆行  弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (00516049)

研究分担者 川村 隆三  埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (50534591)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード電子線 / 分子操作 / バーチャル電極 / 脂質膜 / 電気二重層 / ハイパス特性 / dsDNA
研究実績の概要

本研究は,電子線の電気的な性質を用い,誘電体膜であるSiN薄膜の裏面から電子線を照射して,仮想的な電極パターン(バーチャル電極)を誘導する技術を基盤としている.このバーチャル電極を動的に走査することにより,SiN薄膜上にある分子機能を操作することが研究の目的である.
本年度においては,バーチャル電極を動的に走査するシステムを構築し,電子線を高速に走査することにより2次元のバーチャル電極パターンを描画し,さらにそのパターンを自在に平行移動・回転・変形できることを示した.この動的に制御できるバーチャル電極を用いて,蛍光標識したdsDNA分子に対して適用したところ,dose量が同じであっても走査速度に依存して応答が変わることが分かった.バーチャル電極が投影されつディスプレイ面であるSiN薄膜の誘電特性や,固液界面に生じる電気二重層がハイパスフィルターの周波数特性を有していおり,バーチャル電極に誘電的な周波数特性を付与しているものと考えられる.これらの結果は,バーチャル電極パターンをより高速な走査により投影することにより,より広い面積をより高い効果を維持して分子機能操作を実行できることを示唆している.走査型プローブによる分子操作においては,時分割で2次元の場を提示することは,エネルギー密度の低下を招くことから大面積のパターン呈示は困難であると考えられるが,本研究のバーチャル電極ではハイパス特性によりエネルギー密度の低下が相殺されることが期待できる.
また,これまで取り組んでいた人工脂質膜の形状をバーチャル電極により制御する研究が論文化ができ,Inside Back Cover に掲載される成果をあげられた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

バーチャル電極を2次元に投影し,同時に平行移動・回転・変形動作を自在にできるシステムを構築できた.このシステムを用いた実験により,バーチャル電極パターンにはハイパス特性があることが分かり,広い面積を描画するうえで有利な性質があることが判明してきた.これまで投入するビーム電流をを上げて投影されるバーチャル電極パターンの電流密度を下げないようにすることがバーチャル電極ディスプレイの実現には必要と考えていたが,ハイパス特性があることでビーム電流に依存しない装置設計が可能であることが予想されので,分子機能の制御のためのディスプレイ装置としての性能をおおむねクリアした.
また,半径を時間変化させる同心円に投影したバーチャル電極パターンにより,ディスプレイ面に静電吸着している酸化グラフェンフレークを剥離し,移動させることが可能であること示すことができた.

今後の研究の推進方策

分子機械の機能をその場で自在に操作することのできる「分子・マシンインタフェース」を構築するため,高速の走査するバーチャル電極をオンデマンドに操作できるシステムを構築し,また標的分子の位置・機能に応じてバーチャル電極パターンを投影できるシステムの開発に取り組む.そのため,MHzオーダーの高速描画システムを用いて分子機能を操作し.分子像や応答データから投影バーチャル電極を随時更新するシステムを構築し研究を推進する.
また,バーチャル電極による分子機能操作の応用として,特定の分子を認識・増強して標的分子を認識する分子認識が可能であるかについて挑戦する.

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 備考 (3件)

  • [雑誌論文] Dielectric characteristics of deformable and maneuverable virtual cathode tool displayed by indirect electron beam drawing2022

    • 著者名/発表者名
      Sasaki Ken、HOSHINO Takayuki
    • 雑誌名

      Japanese Journal of Applied Physics

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.35848/1347-4065/ac61ac

  • [雑誌論文] Multi‐Scale Lipid Membrane Flow by Electron Beam‐Induced Electrowetting2021

    • 著者名/発表者名
      Miyazako Hiroki、Mabuchi Kunihiko、Hoshino Takayuki
    • 雑誌名

      Advanced Materials Interfaces

      巻: 8 ページ: 2100257~2100257

    • DOI

      10.1002/admi.202100257

  • [雑誌論文] [Inside Back Cover] Multi‐Scale Lipid Membrane Flow by Electron Beam‐Induced Electrowetting (Adv. Mater. Interfaces 18/2021)2021

    • 著者名/発表者名
      Miyazako Hiroki、Mabuchi Kunihiko、Hoshino Takayuki
    • 雑誌名

      Advanced Materials Interfaces

      巻: 8 ページ: 2170101~2170101

    • DOI

      10.1002/admi.202170101

  • [学会発表] Biorobotics and Living Machine2022

    • 著者名/発表者名
      Takayuki Hoshino
    • 学会等名
      Study in Japan Virtual Education Fair
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] バーチャル電極による液中酸化グラフェンプレートの変 形とマニピュレーション2022

    • 著者名/発表者名
      野村 建樹, 星野 隆行
    • 学会等名
      第69回応用物理学会春季学術講演会
  • [学会発表] 時空間的なバーチャル電極の駆動によって誘導される電 場の計算2022

    • 著者名/発表者名
      佐々木 建, 星野 隆行
    • 学会等名
      第69回応用物理学会春季学術講演会
  • [学会発表] Design of Scanning Path for Dynamic Virtual Cathode tool2021

    • 著者名/発表者名
      Ken Sasaki, Tatsuki Nomura, Takayuki Hoshino
    • 学会等名
      34th International Microprocesses and Nanotechnology Conference (MNC 2021)
    • 国際学会
  • [学会発表] Speed switching of gliding microtubule motility by an electron beam2021

    • 著者名/発表者名
      Hiroki Miyazako, Kai Uemura, Ryuzo Kawamura, Takayuki Hoshino
    • 学会等名
      34th International Microprocesses and Nanotechnology Conference (MNC 2021)
    • 国際学会
  • [学会発表] Measurement on integrated forces of multiple kinesin motors through cross-linked microtubules with a glass microneedle2021

    • 著者名/発表者名
      N. Tsuji, N. Kobayashi, S. Nakabayashi, H.Y. Yoshikawa, R. Kawamura.
    • 学会等名
      第59回 日本生物物理学会年会
  • [備考] 【プレスリリース】電気のはたらきで脂質二重膜を押し引きし自在に形を制御 ~

    • URL

      https://www.hirosaki-u.ac.jp/topics/58944/

  • [備考] ドイツの学術誌に掲載され、表紙(Inside Back Cover)に選ばれました

    • URL

      https://www.hirosaki-u.ac.jp/59718/

  • [備考] FMアップルウェーブ りんご王国こうぎょくカレッジ 合成怪物のぎゃくしゅう

    • URL

      https://chiiki.hirosaki-u.ac.jp/202108-3717/

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公開日: 2022-12-28  

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