研究課題/領域番号 |
19H02113
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山西 陽子 九州大学, 工学研究院, 教授 (50384029)
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研究分担者 |
原本 悦和 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (30540869)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 電界誘起気泡 / プラズマ放電 / 圧潰 / キャビテーション / 気液界面 / タグ / トレーシング |
研究実績の概要 |
3次元造形技術の発展に伴い,多様な材質,形状の物体を短時間かつ簡易に作製することが可能となった現在において, 柔軟性を有する3次元造形物に高解像度かつロバストな電気回路を付与することは産業発展に大きく貢献できる技術と成り得る.一方,従来プラスチック等の非導電性物質への回路形成に使用される無電解めっき法は,事前処理やめっき浴の調整が困難である.本研究では,事前基板処理・洗浄が不要であり,廃液がほとんど発生せず,金属・ポリマー・生体等,幅広い材質へ電気配線を行うことのできる新たな技術の創生を目的として研究を行った.具体的には分解能(数十μm⇒数百 nm)の向上,生体組織等様々な柔軟性を有する3次元構造体への電気回路作成の達成と,その機能運用(生体へのマーキング・トレーシング技術)を目標としており、初年度である2019年度においては、デバイス小型化などを目標として、具体的には磁性タグを打ち込むための気泡噴出部構造の試作や、気泡噴出部である誘電体先端部構造の最適化、エッチングとデポジションの可視化と定量化、幅広い柔軟材料への侵襲性評価などを行い数多くの知見を得ることができた。その知見に基づき2020年度においては、様々な柔軟性を有する3次元構造体への電気回路作成のための小型な描画システムを構築し,実際に水中生物への埋込・実装実験及び経過観察を行った.その結果を踏まえ2年目を通して仮想電極を瞬間的に発生させる誘電体設計の最適化と機能性界面を生じる気泡と電界集中の関係を明らかにした.また前倒しに幅広い材料へ対応するため,水分含有率(インピーダンス)の異なる生体試料への配線,幅広いサイズや3D形状に対応するため,生体試料への情報埋込と経過観察を行い,光学磁気センサーによるセンシング能力を評価することに成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目はデバイス小型化による分解能の向上や回路形成には重要な体積抵抗率向上へ向けた研究を行い,2年目以降は,様々な柔軟性を有する3次元構造体への電気回路作成のための小型な描画システムを構築し,実際に水中生物への埋込・実装実験及び経過観察を行った.その結果を踏まえ2年目を通して仮想電極を瞬間的に発生させる誘電体設計の最適化と機能性界面を生じる気泡と電界集中の関係を明らかにした.また計画を前倒しにして,幅広い材料へ対応するため,水分含有率(インピーダンス)の異なる生体試料への配線,幅広いサイズや3D形状に対応するため,生体試料への情報埋込と経過観察を行い,光学磁気センサーによるセンシング能力とトレーシング能力を評価した.以上の結果より生体組織等様々な柔軟性を有する3次元構造体への電気回路作成へのロバストな配線技術の完成まで目前に迫っており概ね順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
2020年度まで生体組織等様々な柔軟性を有する3次元構造体への電気回路作成へのロバストな配線技術の完成に迫っており,これらの結果を踏まえ,最終年度においてはデバイスのスペックのさらなる向上を目指す.具体的には下記の推進方策を行う. (1)気泡触媒凝着めっきの最小線幅(解像度)を従来の数十μm⇒数μm以下を達成する.(電界誘起気泡発生デバイスの気泡噴出部である誘電体電界集中構造の最適化設計の検討) (2)電界集中による誘電体気泡発生の設計最適化,エッチングとデポジションの独立制御システムの構築とそれに伴う体積抵抗率の1桁~2桁前半μΩcm-1を達成する.(エッチングとデポジションの可視化と定量化,物理(エッチング)・化学(還元作用等)現象を支配するパラメータの特定,LCRメータ等による抵抗値測定) 等を達成する.
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