研究課題
心毒性の高精度な評価システムの構築を目的として、サイバー:高精度な数値計算システムの構築、フィジカル:フレキシブルエレクトロニクスによる高精度な測定システムの構築を行い、これらの結果を相互にフィードバックすること(サイバー・フィジカルシステム)によって効果的に改良を進めた。昨年までの研究成果に基づき、最終年度はさらなる改良に主眼を置き、研究を推進した。心筋細胞は拍動するため、心筋細胞組織と薄膜エレクトロニクスが剥がれやすいという問題、拍動に伴って薄膜エレクトロニクスの基材とエレクトロニクス(金属部分)が剥がれやすい問題が発生しやすい点が、他の生細胞組織とは大きく異なる点である。薄膜エレクトロニクスの表面にナノ凹凸を設ける、化学的な処理を施すなどして、心筋細胞組織の剥離を防止するテクニックも検討可能であるが、本評価システムを実用化する際に、製造プロセスの中に複雑なプロセスが入ることは好ましくない。そこで、実験を通じて、好ましい条件を探索した。その上で、心筋細胞に影響を与える薬剤のいくつかを対象として、薬効試験を行い、このシステムが機能することを実証した。また、心臓組織における線維芽細胞が不整脈に寄与する点の評価を数値計算によって行った。心臓組織内の線維芽細胞の割合が多くなると、不整脈を起こしやすいことは知られている。しかし、心臓組織内の線維芽細胞が周りにどのような影響を与えるのか、局所的に見た場合のしきい値が何%になるかといったことは分かっていない。また、致死性不整脈だった場合には、組織の一部が死滅してしまうため、実験的にこのようなことを検証しにくい。そこで、高精度な評価が可能な数値計算の構築が望まれていた。このようなニーズを把握した上で、数値計算の基礎的なシステムを構築した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件)
Lab on a chip
巻: 21 ページ: 3899-3909
10.1039/d1lc00411e