研究課題/領域番号 |
19H02118
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
池本 有助 名城大学, 理工学部, 准教授 (10377822)
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研究分担者 |
新竹 純 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 助教 (10821746)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ロボティクス / テンセグリティ / ソフトロボット |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,硬い部材を柔らかい部材の張力によって形態を維持するテンセグリティの設計原理を活用したロボットを開発し,ダンゴムシなどの蛇腹状の多関節を有する生物の逃避行動にみられる瞬間的屈曲運動を実現する.そして,数値シミュレーションおよび実ロボットの具現化を行うことである. これまで,射影幾何に基づくテンセグリティロボットシミュレータの開発をし,ハードウェア開発の大幅な時間短縮が可能となった.シミュレータは射影幾何に基づいており,計算オペレーションが少なくて済むため,大規模なテンセグリティ構造体の数値計算を高速で可能とした.この数値シミュレータを拡張し,テンセグリティ構造体の最適化アルゴリズムを双安定力学系に基づき考察した.その力学特性を構造体の最適化アルゴリズムに適用し,数値シミュレーション,および実機実験の両面において検証した.現在,この双安定力学特性を用いた構造設計を行い,エビの屈曲状態を維持するテンセグリティ構造体を製作するに至っている.なお,この結果は,国際会議でのポスター発表(遠隔)することが決定している. また,ソフト材料とリジッド材料の成型の設計に関し,剛性の異なるソフト材料を混合させる技術基盤を実現した.特に,ソフト材料とリジッド材料の成型を自由自在かつ短時間で行うことが,可能となった.また,3Dプリンティングおよび切削のためのCAD設計を容易に行える環境を整え,加えて,ソフト材料によるデバイスの研究開発を推進している.これらの工程整備により,短期間でソフト材料とリジッド材料を用いたテンセグリティ構造体の設計・製作が可能な工程基盤を築き,ロボットを構築した.なお,この結果は,国際ジャーナルへの掲載が決定している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りの,俊敏な形態変化を機構的に実現するテンセグリティ構造の設計・制作を実現した.また,使用するソフト材料の選定も進めた.さらに,数値シミュレータを開発した.これにより,さらなる促進的ハードウェア開発を見込めるようになったため,順調に進展していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
本研究における諸項目は次のとおりである.【項目1】射影幾何に基づくテンセグリティロボットシミュレータの開発,【項目2】アンチ・フラジャイル特性に基づく構造最適化アルゴリズムの開発,【項目3】テンセグリティ構造体の製作基盤の構築,【項目4】ソフト材料を駆使した伸縮センサ・アクチュエータの開発・実装,【項目5】屈曲運動を実現するテンセグリティロボットの設計・開発,【項目6】力学エネルギの観点からの考察および生物との接点の探求. 今後の研究方針では,予定通り,【項目3-6】へ展開する.特に,俊敏な形態変化を機構的に実現するテンセグリティ構造の設計・制作を実現に至ったため,この構造の数理解析を進め,構造のさらなる最適化を進める. ソフト材料に関しては,ソフト材料とリジッド材料の成型を自由自在かつ短時間で行うことが,本研究の進捗度合いを左右すると考える.研究代表者は機械工学者であり,3Dプリンティングおよび切削のためのCAD設計を容易に行える環境である.加えて研究分担者は,ソフト材料によるデバイスの研究開発を推進している.我々両者のモノづくり技術を融合させ,短期間でソフト材料とリジッド材料を用いたテンセグリティ構造体の設計・製作が可能な工程基盤築く.さらに,弾性体であるセンサ,アクチュエータ,およびバッテリをすべて搭載した,電気的に動作する完全実装のロボットを開発する.このために,伸縮を計測するセンサ,並びに伸縮を実現するアクチュエータを設計・製作する.研究分担者は,超伸縮性センサや電気式の人工筋肉アクチュエータを用いたロボットを開発した実績があり,テンセグリティロボットの弾性体部材に実装するセンサ・アクチュエータを開発・実装に着手する.
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