研究課題/領域番号 |
19H02119
|
研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
研究代表者 |
辻田 哲平 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 准教授 (40554473)
|
研究分担者 |
安孫子 聡子 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (40560660)
佐藤 大祐 東京都市大学, 理工学部, 准教授 (40344692)
近野 敦 北海道大学, 情報科学研究院, 教授 (90250688)
山田 俊輔 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 准教授 (90516220)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | ヒューマノイドロボット / 運動知能 / パラシュート / 衝撃 / ダイナミクス |
研究実績の概要 |
柔軟外装・関節を有した多関節ロボットの動力学シミュレータ開発の第一歩として,柔軟外装の変形を有限要素法で計算し,計算された発生力をマルチボディダイナミクス計算の外力項として入力することで有限要素解析とマルチボディダイナミクスの連成解析を行うことができるシミュレータをMathworks社製数値計算ソフトウエアMATLAB/Simulink上で開発した.剛体の周囲をスポンジ等の柔軟物で覆った物体のシミュレーションから始め,二つの物体を結合した簡易ロボットのシミュレーションを実現した.剛体の周囲をスポンジ等の柔軟物で覆った物体や簡易ロボットを様々な高さ・姿勢で落下させ,実験によって得られた落下軌道,角速度などとシミュレーション結果を比較し,連成解析シミュレータの妥当性を検証した.また,柔軟外装・関節を有した人間の脚部と同程度のサイズの7自由度一脚ロボットを開発した.柔軟関節には,HEBI Robotics社製 Series Elastic ActuatorであるHEBI X8-9スマートアクチュエータを用い,柔軟外装は3Dプリンタで製作した支持体の周囲にスポンジを貼り付けることで実現した. また,落下時におけるロボットの四肢を使った降下軌道制御手法の提案に向けた風洞試験の検討を行った.使用する風洞のテストセクションのサイズを考慮し,断面が10cm×10cm程度となるように,小型なアクチュエータ(Dynamixel XM430-W350)を用いた4自由度ロボットを設計した.さらに小型な風洞解析用の模型も開発した.四肢の角度の異なる小型なモデルを風速7~20m/sの流れ場の中に設置し,流れの方向および流れに対して垂直な方向の流体力を計測し,四肢の角度と流体力の関係について解析を行った.これらの流体力の結果から,数値シミュレーションに必要な,四肢の角度を変化させた時の抗力係数を算出した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究でコアとなる柔軟外装の変形計算を有限要素法で計算し,計算された発生力をマルチボディダイナミクスの外力項として入力することで有限要素解析とマルチボディダイナミクスの連成解析を行うことができるシミュレータのフレームワークを開発できた.計算時間等に問題は残すものの,今後,このフレームワークに柔軟関節のモデルなどを組み込んで開発を加速することができるため,概ね順調に進展しているものと判断する.
|
今後の研究の推進方策 |
柔軟外装・関節を有した多関節ロボットの動力学シミュレータの改良を行う.開発したシミュレータは,柔軟外装の変形計算を有限要素法で計算し,計算された発生力をマルチボディダイナミクスの外力項として入力することで有限要素解析とマルチボディダイナミクスの連成解析を行うことが可能であるが,ロボットに搭載しているHEBI Robotics社製 Series Elastic ActuatorであるHEBI X-Seriesスマートアクチュエータの力学的特性を加味できていない.そこで,柔軟関節のモデリングを行う.また,有限要素法の計算に時間がかかっているため,高速化を行う.平行して,新たな柔軟関節の機構の開発も継続する. 小型ロボットの風洞試験を引き続き行い,四肢の角度を変化させて降下した時の抗力係数の変化と,空力的なメカニズムを解明するため,流れ場のPIV(Particle Image Velocimetry)による可視化やCFD(Computational Fluid Dynamics) 解析に基づいて,関節角度と流体力の方向についての関係を検討する.
|