研究課題/領域番号 |
19H02126
|
研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
伊藤 弘昭 富山大学, 学術研究部工学系, 教授 (70302445)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | パルス重イオンビーム / 両極性パルス加速器 / パルス電力技術 |
研究実績の概要 |
本課題は、炭化ケイ素に代表される次世代省エネルギーデバイス作製に向けて半導体材料の導電率制御法として、新しいイオン注入技術である高強度パルスイオンビームを用いたパルスイオン注入法の実現を目指してその知見を得ることを目的としている。高強度パルスイオンビームを半導体に材料に照射すると、イオン注入によるドーピングと同時にビームの熱付与による注入層の超高速加熱・冷却によりアニーリング処理が同時にできる利点がある。 本年度は、パルスイオン注入の実証実験を行うためには、n型・p型ドーパントの機能を有する高純度の大電流パルス重イオンビームが必要であり、従来のパルスイオンビーム技術の欠点であるビーム純度を改善できるパルス電力技術を利用した両極性パルス加速器の性能向上を実施するとともに、昨年度から取り組んできたp型ドーパント用の真空アークアルミニウムイオン源の開発・性能評価を実施した。真空アークイオン源においては、電極構造を改良後、イオンビームのビーム電流密度やパルス幅をバイアスイオンコレクターで評価するとともにイオン源のショット安定性をCCDカメラや高速度カメラで放電特性を測定した結果、ショット安定性が改善され、パルスイオンビーム用のイオン源としてはほぼ満足する特性が得られた。次年度の両極性パルス加速器での実験に向けて実機の政策を行い、装置への組み込み作業の準備を行った。また、両極性パルス加速器のビーム電流向上に向けて加速電極の依存性を調べたが、期待した結果を得ることはできなかった。そのためこれまで得られた結果をもとにして両極性パルス電源の性能を検討した結果、電源の改良を次年度に行うこととし、その準備作業を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの影響により、制約が生じて研究時間の確保が困難な状況が続き、実験データの取得や必要物品の発注などに遅延が発生し、研究計画が全体的に遅れてしまった。
|
今後の研究の推進方策 |
p型ドーパント用のアルミニウムイオン源として開発した真空アークイオン源の特性評価が完了したので、両極性パルス加速器に組み込み、早急に装置の整備を完了させ、パルスイオンビームの特性評価を実施するとともに、両極性パルス電源の改良を行う予定である。今後、研究課題の目的達成に向け、遅れを取り戻せるように計画を見直し、課題を着実に一つずつ解決しながら成果を積み上げて実験を行う予定である。
|