研究課題
核融合用超伝導マグネットや超伝導エネルギー貯蔵装置など,高磁場でエネルギー密度の高い大型のマグネットを必要とする機器では,高い臨界磁場と臨界温度を持つ高温超伝導材料(REBCOやBSCCOなど)を用いた開発がすすめられている.高温超伝導マグネットでは,その超電導特性を活かしつつ冷却安定性を確保するため,15~40Kの温度域が望ましく,直接冷媒冷却,特にCICC(Cable In Conduit Conductor)として強制対流で冷却することが適していると考えられ,この温度域では粘性の小さい液体水素の特性を活かすことが提案される.しかし,超伝導マグネットの液体水素冷却については,その性状から十分な研究がなされておらず,CICC導体を想定した冷却安定性を検討した安全な冷却設計基準が必要である.これらを検証するために,昨年度までに,液体水素強制対流流路に直列に模擬試験体を設置し,圧力,液温,質量流速の条件を変えて,強制対流熱伝達特性を測定した.さらにこれらの成果をもとに,CICC導体としてMgB2/CuNi/CuNi 撚り線およびMgB2/Cu/CuNi 撚り線を用いて強制対流流路に設置し液体水素強制対流冷却試験を行った.その結果,過電流通電試験においてMgB2/CuNi/CuNi 撚り線では熱暴走が確認されたのに対して、MgB2/Cu/CuNi 撚り線では,MgB2が常電導転移した後電流の多くはCu 線へ分流し、発熱の多くがCu 線で発生して,試験した通電範囲では熱暴走が起こらなかった.Cu 線を一緒に撚り合わせることで熱暴走の発生が起こりにくくなり、液体水素の強制対流冷却による導体の冷却安定性の向上が確認された.
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Cryogenics
巻: 113 ページ: 103230
10.1016/j.cryogenics.2020.103230
IEEE Transactions on Applied Superconductivity
巻: 31 ページ: 5202505
10.1109/TASC.2021.3065814