研究課題
本研究では,系統の慣性をサポートする仮想同期機(VSM)制御を適用した電力貯蔵装置(ESS)を有する半導体変圧器(VSM-SST)について,その制御法の確立を目的としている。対象となるVSM-SSTは,高圧側はモジュラーマルチレベル変換器(MMC)を介して電力系統に連系し,直流側は絶縁型直流/直流変換器(DAB)を直列接続して降圧する。そして低圧側直流部にはESSとして双方向直流変換器を介して蓄電池を接続することによって,電力変動補償に必要なエネルギーを供給する構成を想定している。2020年度においては,電力潮流の方向(順潮流/逆潮流)と電力変動補償箇所(高圧側電力変動補償/低圧側電力補償)の運転条件の組み合わせに対し,VSM-SSTが満足すべき技術要件を明らかにしその制御について検討したが,1)ESSの電力変換器が電力補償動作をする必要がない場合にも常時動作すること,2)ESSが蓄電池の過充電・過放電によって切り離された場合にVSM-SSTが動作できず負荷に電力を供給できなくなること,という課題があった。2021年度はこれらの課題を解決するために,通常時は電力貯蔵装置を動作させず電力変動が発生した場合にのみ動作して高圧側直流リンク電圧を制御するように制御系を改善した。電力変動の検出にはVSM制御の内部変数である制動電力の変化を用いる。ESSがVSM-SSTから切り離された場合には,VSM制御の慣性,制動係数を変更することによって従来のSST同様に動作し,負荷に電力供給を継続することを可能とした。これらの提案手法の有効性は,インバータ,DAB,双方向チョッパなどで構成した簡略化した1 kW級装置の実験によって確認した。これらの成果は,2021年度の電気学会産業応用部門大会,半導体電力変換研究会などで報告した他,国際会議ECCE2022においても発表する予定である。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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電力技術/電力系統技術/半導体電力変換合同研究会資料
巻: SPC-22-69 ページ: 119-124
2021年度電気学会産業応用部門大会講演集
巻: 1 ページ: 99-103