研究実績の概要 |
本研究では,従来の回生ブレーキ力特性に対し,高速域の回生ブレーキ力特性を向上させることで,回生エネルギーの増加を図る。一方,中速域のピーク電力が高い領域は,定出力特性を導入する,もしくは,軽負荷回生制御の動作により,回生電力の絞込みを行う。直流電気鉄道の省エネルギー化に寄与できると考える。 本研究では,上記手法の効果検証として,まず1変電所,1回生車,1力行車の状況下における定出力領域拡大時の回生電力や回生エネルギーの増加効果を検証し,その効果を明らかとした。次に,定出力領域を拡大するための制約となる高速域の電流増加による,き電系の影響も考慮したシミュレーションによる回生ブレーキの動作状況の検証を行った。その結果,実路線を対象に,複数の列車を同時に走行させ,従来特性に対し,高速域の回生ブレーキ力を向上させた時の回生電力,回生エネルギーの増加による,変電所エネルギーの低減効果の評価を行い,本提案方式の効果を明らかにした。 また,上記では,車両側の制約として主電動機の停動トルク余裕, インバータの電流制限,電動機の温度上昇につながるRMS電流,についても同時に評価を実施した。その結果,高速域の回生ブレーキ力の向上の限界やネガティブファクターの定量的な検証を行った。 本研究を通じ,電気鉄道の省エネルギー化とカーボンニュートラルに貢献する技術の一手法が確立された。
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