研究課題/領域番号 |
19H02143
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
三次 仁 慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 教授 (40383921)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | SDR / RFID / AoA |
研究実績の概要 |
4つの受信アンテナでUSRPの2つの受信器を時分割で共有することによる、モノパルススイッチング方式を考案し、LabVIEW NXGを用いてハードウェア実装を行った。この方式であれば受信器がアンテナ数より少ないため、アンテナ数が増えた場合の実装コストを軽減できる。4以上のアンテナとなった場合にも、基本原理は適用可能である。マルチパスの影響を考慮するため、4アンテナで受信したストリームをspatial smoothingで処理し、さらにMUSICアルゴリズムを適用することにより、同一の端末が発する主波および主要反射波のAoAを分離する制御ソフトウェアも開発し、屋内無線環境で実証を行った。この結果、強いフェージングを伴う屋内電波伝搬環境においてもモノパルススイッチに必要な100msec程度であれば、2つ受信機の相対位相差を検出し自動補正できることがわかった。一方、現状のハードウェア構成ではアンテナスイッチに数秒必要となり、スローフェージングが強い電波伝搬環境においては、測定AoAが安定しないことが明らかになった。フェージングが強く表れない位置にあるRFIDタグにおいては、15度以内の測定誤差でAoAが検知できることが実験により明らかとなった。測定誤差15度はまだ改善の余地はあるものの、国際標準プロトコルに準じたRFIDのインベントリを行いながら、複数のRFIDタグのAoAを同時に測定するソフトウェア無線プラットフォームを始めて実現した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定としていたマルチアンテナによるモノパルス受信器を構成した。一方、アンテナに対して受信器数を減らすことで実装コストは低減できるものの、強いフェージング環境においては、受信アンテナを切り替える時間にフェージングパターンが変化するケースが多く、測定のロバスト性という観点では問題がある。しかし問題点は特定できているため、今後の改善が期待できる。またRFIDのAoA測定システム構築およびソフトウェア実装に時間が掛かり、LoRAに関する取り組みが遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
RFIDにおけるAoAを実現することを優先し、4受信アンテナに4受信装置を接続するシステムを構築しアンテナスイッチに係るフェージングの影響を改善する。フェージングの影響とモノパルススイッチの性能の切り分けが不明確な点は、電波暗室実験によって検証する。
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