複数の市販SDR装置を組み合わせてコヒーレント受信機を作成するシステムについて、これまで検証を進めてきたモノパルススイッチによる位相補償回路を4x4で二軸に対応できる多段化することと、USBハブを用いたCoarse同期システムの開発に取り組んだ。送信装置については920MHz帯で実験局免許を取得し、無線環境での実験を実施した。多段化モノパルススイッチは、試作を完了し基本動作を確認することができた。
Coarse同期システムについては、SDR装置を複数USBハブに接続してアレイアンテナを構築しモノパルススイッチで評価したところ、当初想定していたSDR装置内のクロックが同期していないことに加え、USBバスの遅延が装置毎、リセット毎に異なることが判明した。この問題に対して、USBバスごとにオーバーラップリングバッファを設置し、SDR装置からの受信フレームの相関解析を用いたCoarse同期システムによって、USBバスにおける転送誤差を吸収できることを明らかにした。さらに、単純な相関解析だけでは、キャリアリカバリができていないために、周波数ずれに対応した相関値が大きくなってしまうことから、まずキャリアリカバリを実施した後にリングバッファによる相関解析を実施することで、同期精度を向上できることを明らかにした。さらに相関解析をIQ信号それぞれに対して実施し、選択することによって、さらに同期が確保できること、および、クロック分配回路を用いることで、いったん同期した受信信号がリセットするまで同期を維持できることを確認した。
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