研究実績の概要 |
光直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing: OFDM)はチャネル間ガードバンドを削減可能なため、適応型光ネットワーク用の信号として適する。2020年度は、新規構成(ループバック型)を有する可変容量光OFDM信号用全光処理型アド/ドロップマルチプレクサ(Add/Drop Multiplexer: ADM)、および同様に新規ループバック型構成の可変容量光OFDM信号用全光処理型波長選択スイッチ(Wavelength Selective Switch: WSS)の検討を行った。具体的には、以下の内容を実施した。 1.多値信号を用いた光ADM・WSS回路用の評価実験系の構築を前年度に引き続き実施し、完了した。 2. 前年度石英光導波路で作製した光ADM回路の動作検証、および特性評価を行った。基本特性(主に消光比、損失・損失変動などの周波数特性)の評価は完了したが、可変信号(20~100 Gbaud)の処理機能の評価は未完了で、現在も継続中である。 3. 光WSS回路(1 x 2構成, 信号処理範囲: 20~100 Gbaud)の最適構成設計、および石英光導波路での作製を完了した。 また、当初の計画外の成果として、光OFDM信号分離回路の後段にこれまで必要であった光ゲートを設置しない簡易型構成によっても、高速光受光器の併用によって光OFDM信号を分離可能なことを実験的に明らかにした。この簡易構成光回路を用いて、可変光OFDM信号(5 ch x 10 Gbit/s, 5 ch x 20 Gbit/s)の分離に成功した。本成果は、光ADM・WSS回路の構成簡易化にも有用である。
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