研究課題/領域番号 |
19H02151
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
崔 森悦 新潟大学, 自然科学系, 研究准教授 (60568418)
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研究分担者 |
田中 洋介 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20283343)
村松 正吾 新潟大学, 自然科学系, 教授 (30295472)
日比野 浩 新潟大学, 医歯学系, 教授 (70314317)
任 書晃 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (80644905)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 光コヒーレンストモグラフィー / 光計測 / スーパーコンティニウム / 光周波数コム |
研究実績の概要 |
本研究では3次元ボリューム全体の断層構造と振動様態の同時計測を実現する光コムを用いた新規イメージング装置の開発を目指した。即ち、生体組織の構成要素を「細胞レベル」で描出し、その高速ナノ振動を広範囲において追尾するために、「光コム」の電子的走査を用いた断層振動イメージング装置を構築している。 この装置の原理として、超広帯域光コムの周波数間隔と波長を巧みに操作することで測定対象の3次元断層と振動分布を同時にen-faceで計測し可視化する方法と、周波数間隔の高速掃引によってプローブ光の当たる領域における超音波振動の深さ分布をリアルタイムで計測する方法を開発した。 具体的には、2019年度は、「光コムの生成と高速で正確な周波数掃引」を確立し、「光コムの広帯域化」を実現した。コム間隔可変のモノリシックな位相変調器型光コムを製作し、周波数掃引幅8 GHz±20 MHzを達成した。これにより1 MHzのa-scan掃引時間を達成した。さらに、光ファイバーの非線形効果及び分散効果を用いることで1.5μm帯で波長幅約80 nmの広帯域化を達成した。さらに、このコム光源とフィゾー型干渉計による基礎的な原理確認実験を行った。 その結果、深さ方向分解能50μmの断層形状計測と同時に、100kHz以上の振動を振幅感度10 nmでリアルタイム計測することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画では、初年度に「光コムの生成と高速で正確な周波数掃引」を確立し、「光コムの広帯域化」の実現を計画した。また性能目標として、コム間隔の周波数掃引幅10 GHz±100 MHzの達成と、光ファイバーの非線形効果及び分散効果を用いることで1.5μm帯で波長幅約100 nmの広帯域化の達成を目指した。達成した周波数掃引幅は8 GHz±20 MHzであるが、測定において光コム干渉次数を上げることで、目標としていた500μmの深さ方向のa-scanが可能であることが判明した。また、生成した光コムパルスの非線形ファイバー伝搬によってスーパーコンティニウムの生成が確認でき、ある程度の広帯域化(目標の80%程度)を実現できた。今後の課題として、より最適な分散条件の光ファイバーを用いることでさらなる広帯域化を目指す。断層形状と振動分布のリアルタイム同時計測が可能であることが示されたことで、次年度の計測システム構築への基礎的な土台が整った。
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今後の研究の推進方策 |
光源の開発においては、非線形光ファイバーの選定を進め、さらなる広帯域化を目指しことで、断層計測の深さ分解能の向上を達成する。計測システムとしては、前年度の結果を踏まえ、en-face型とプローブ型の二つのシステムの試作と生体試料の計測と評価を目指す。
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