最終年度は,精度検定を行ったのちに応用の可能性を探索した.さらに,アウトリーチ活動を行った. 精度検定では,前年度構築した測定プロトコルにしたがい,AFMの測定結果と比較した.標準試料は,前年度に作製したオプティカルフラットとした.AFMで事前に測定した結果では,表面粗さSa=1.2nmであった.このオプティカルフラットを構築した測定システムで測定した.測定光学系は,サンプルへの測定光の入射角度や直交状態からのずれ量を設定する必要があるが,それぞれ,60度および2度とした.これらの設定値は,実際にオプティカルフラットを測定しつつ,測定感度とから決定した.以上の設定をもとに測定したところ,Sa=7nm±0.2nmとなった.繰返し精度は良好な結果が得られた.しかしながら,絶対値が異なっていることから,キャリブレーション方法をあらたに考案する必要があることがわかった.また,湿度の影響を排除することで長時間の安定性が実現できた.そこで,標準試料を試料ステージを走査することにより表面粗さの面分布を測定した.測定範囲は,10mmとし,20umステップで測定した.その結果,これまでは分からなかった研磨痕が明らかになった.この研磨痕が幾何的な形状として生成されたものか,物性が変わったものかは分からないものの,広い測定範囲だからこそ得られた知見である. 以上の成果をもとに,国際会議で発表したところ高い評価を得て講演賞を受賞した.また,論文東欧は準備中である.
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