研究課題/領域番号 |
19H02158
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
澤田 賢治 電気通信大学, i-パワードエネルギー・システム研究センター, 准教授 (80550946)
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研究分担者 |
小林 孝一 北海道大学, 情報科学研究院, 准教授 (50452115)
市原 裕之 明治大学, 理工学部, 専任教授 (70312072)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 制御工学 / 制御システムセキュリティ / 事象駆動型制御 |
研究実績の概要 |
本研究は様々な制御機器が協調・連携し,通常・縮退・回復時の制御システムのサイバー攻撃に対するレジリエンスを向上させる“協調多層型防御技術のための事象駆動型制御理論の構築”を目的とする.2019年度は「事象駆動型制御の有向グラフ上の最適経路探索表現」の基礎検討を実施した.制御系構造の一般化においては,集中型出力フィードバック制御系に対する事象駆動型制御の解析条件と設計条件を線形行列不等式(LMI)条件に帰着した.特に,出力フィードバック型補償器と事象駆動条件の同時設計条件をLMIに帰着することができた.本成果は離散時間システム表現であるが,連続時間システムへの拡張も可能となっている.状態遷移と制御入力の同時最適化においては,ピニング合意制御の混合論理動的表現による最適方法を検討した.同時に,確率的な状態遷移をもつネットワーク制御システムに対する確率モデル予測制御の実現方法を検討した.経路探索アルゴリズムの高速化においては,車群の合流・分岐制御問題を対象に,切り替え型ピニング制御の事象駆動化を実現し,計算量削減を実施した.また,もう一つの計算量削減の方法として,状態量子化によるモデル抽象化をピニング制御に適用する方法も検討した.適用先として複数車群の車線変更制御を考慮した.以上の成果は,2020年度研究項目の「誤り訂正符号に基づくセキュアな制御機器の状態管理」と「状態遷移時の制御機器の同期方法」に繋がる基礎アルゴリズムへと繋がることになる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者(澤田)と分担者の市原教授が従事した集中型出力フィードバック制御系に対する事象駆動型補償器の設計条件に関しては,計測自動制御学会論文集に投稿し,採択された.さらに,全員が従事した出力フィードバック型補償器と事象駆動条件の同時設計条件は国際会議IFAC World Congress2020に投稿し,採択された.また,ピニング合意制御の混合論理動的表現は電子情報通信学会の英語論文誌に投稿し,採択された.切り替え型ピニング制御の事象駆動化はIFAC World Congress2020に投稿し,採択された.ピニング制御への態量子化によるモデル抽象化の適用については投稿準備中である.また,研究分担者の小林准教授により確率モデル予測制御の実現方法については論文投稿の準備中である.以上より,研究所年度の成果は当初の予定通り得られ,学術論文誌や国際学会に順次採択された事から,概ね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
2020度は2019年度の課題a)「事象駆動型制御の有向グラフ上の最適経路探索表現」の成果の拡張と,課題b)「誤り訂正符号に基づくセキュアな制御機器の状態管理」と課題c)「状態遷移時の制御機器の同期方法」の基礎検討を実施する.課題a)は2019年度と同様の分担体制で進める.2019年度は出力フィードバック型の事象駆動制御系の線形行列不等式条件を導くことができた.2020年度は本成果を拡張するために,事象駆動型制御系の連続時間表現とハイブリッド表現に着手する.また,事象駆動条件の一般化にも着手する.研究代表者(澤田)と分担者である市原教授,小林准教授の共同実施となる.課題b)については,リーダーフォロワー制御における制御アルゴリズムの不透明度(Opacity)を離散事象システムにおけるOpacityの観点から評価する.本課題は研究代表者(澤田)と分担者である小林准教授の共同実施となる.また,課題c)については,マルチエージェントシステムの合意制御における分散協調全状態オブザーバを検討する.分散協調全状態オブザーバにおける推定速度と同期速度の向上のために,ピニング制御を導入する.本課題は研究代表者(澤田)と分担者である市原教授の共同実施となる.
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