研究課題/領域番号 |
19H02164
|
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
石井 紀代 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (90612177)
|
研究分担者 |
徐 蘇鋼 国立研究開発法人情報通信研究機構, 耐災害ICT研究センター基盤領域研究室, 主任研究員 (10350448)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 光通信ネットワーク / モデル化 / ネットワーク管理制御システム |
研究実績の概要 |
あらゆる通信網領域へ高性能・大容量・低遅延な光ネットワークを導入可能とする、光ネットワークの汎用モデルおよび自動抽象化手法の開発にむけ、本年度は、現実世界をそのままモデル化する物理モデルと、光ネットワーク管理制御システムが参照するモデルとなる論理モデルとの調査検討を行った。 まず、ディスアグリゲーション方式を用いた光ネットワークシステムにおいて現在検討が進められている既存モデルの調査を行った。調査により、現在主に検討されているのは論理モデルに位置するモデルであり、上位のコントローラとのインターオペラビリティの検証が進められている一方、実際に光通信ノードを構成する詳細なデバイス構成を表現しきれていないことがわかった。これにより、研究代表者が物理モデルとして提案・開発している、詳細なデバイス構成をそのまま記述し、さらには機器機能の数式を用いたモデル化手法(Functional Block-based Disaggregationモデル、以降、FBDモデルと呼ぶ)と、既存モデルとが相補的な関係を成すことが明らかになった。 次に、既存モデルとFBDモデルとの連係動作についてフィールドテストベッドを用いて検証した。既存モデルとしては、キャリアが推進するMSAであるOpenROADMモデルを採用し、FBDモデルとの変換アルゴリズムを開発することで、両者の連携動作が可能であることを確認した。さらに、FBDモデルを介することでデバイス構成変化に素早く対応可能であることを実証するとともに、標準的な論理モデルであるOpenROADMモデルを活用することで、SDNコントローラやオーケストレータなど上位の制御管理レイヤとのスムーズなインターオペラビリティの実現を確認した。これらの成果は、光通信分野で権威ある国際会議OFCにおいて、特に重要な成果のみが採択されるPostdeadline paperとして採択された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度は、論理モデルに位置づけされる既存モデルであるOpenROADMモデルと、物理モデルとして開発を進めているFBDモデルとの整合性確認のみならず、両モデル間の変換アルゴリズムの開発、及びフィールドテストベッドを用いた実証実験までを行った。当初の整合性確認と変換アルゴリズム開発への見通しを立てるという実施計画目標から大幅に進展した成果を上げている。
|
今後の研究の推進方策 |
論理モデルとして、OpenROADMモデルのみならず、そのほかの既存モデルとFBDモデルとの整合を検討することで、光ネットワーク管理制御において普遍的に重要となる項目を抽出し、これらの項目をFBDモデルが包含するようにFBDモデルの整備するとともに、汎用的に利用可能な論理モデルの開発を行う。開発モデルの有効性を検証するため、特に重要なディスアグリゲーション方式の適用事例として考えられる、大規模災害時復旧シナリオを検討する。
|