研究課題/領域番号 |
19H02182
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
東脇 正高 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所小金井フロンティア研究センター, 室長 (70358927)
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研究分担者 |
重川 直輝 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 教授 (60583698)
梁 剣波 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (80757013)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 酸化ガリウム (Ga2O3) / 直接接合 / 表面活性化 / シリコン (Si) / シリコンカーバイド (SiC) |
研究実績の概要 |
1. Ga2O3(001)基板上に作製したショットキーバリアダイオードの通電中の素子温度を、顕微ラマン法により評価した。素子温度の場所依存性が、Ga2O3の熱伝導率に対応する面内異方性を示すことを確認した。 2. Si薄層/Ga2O3接合構造を表面活性化接合により作製した。SOI(Silicon on Insulator)基板と、Ga2O3(001)基板およびGa2O3(010)基板を接合し、その後Si基板を除去した。500℃における熱処理後、接合界面の透過型電子顕微鏡観察を行い、熱処理の有無に依らず接合界面に中間層が形成されること、Ga2O3(010)基板接合においては中間層厚が不均一であることを見出した。 3. 上述の手法を用いて作製したn-Si(100)/n-Ga2O3(001)接合基板を用いて、表裏両面にオーミック電極を有する縦型素子を作製し、電流-電圧 (I-V)および容量-電圧 (C-V)測定を行い、その接合界面の電気的特性を評価した。得られたダイオード的な非線形I-V特性から、接合界面には熱平衡状態においてE_c-E_F~0.45 eVのエネルギー障壁が形成されていることが分かった。また、逆方向I-V特性の温度依存性から、接合界面における両半導体間の伝導帯オフセットは0.18 eVと見積もられた。形成された界面エネルギー障壁は、伝導帯端から下方向に0.3 eV程度の範囲に形成された密度6e12 cm^-2 eVの帯電界面準位によると考えられる。なお、I-VおよびC-V特性から得られたエネルギー障壁には差があることから、帯電界面準位の面内分布は不均一であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍における非常事態宣言に伴い、大学および機構への登校、出勤が長期間制限されたことが研究進捗の遅れを招いた。また、機構においては、非常事態宣言が解除されている期間も、試料作製および特性評価を行うクリーンルームへの入室が長期間にわたり制限され、当初2020年度中に実施予定であったn-Si/n-Ga2O3の作製、電気的特性評価の実施時期が、計画より後ろ倒しとなった。以上のような理由から、2020年度予定していたいくつかの研究項目の実施が、2021年度にずれ込むこととなった。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画に則り、Si/Ga2O3(001)基板接合、Si/Ga2O3(010)基板接合の1000℃熱処理後の界面のナノ構造を評価する。また、p-Si/n-Ga2O3接合基板およびn-SiC/n-Ga2O3接合基板を用いた縦型素子の作製、および作製した素子の電気的特性評価を行う。評価手法は、2020年度実施したn-Si/n-Ga2O3ヘテロ接合評価に用いた電流-電圧、容量-電圧特性をベースに行う。加えて、周期加熱放射測温法によるSiC/Ga2O3接合基板の熱特性評価も並行して進める。
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