研究実績の概要 |
1. Si(100)薄層/Ga2O3(001)基板接合、Si(100)薄層/Ga2O3(010)基板接合の1000℃熱処理後の界面のナノ構造を、断面透過型電子顕微鏡 (TEM) 観察、およびエネルギー分散型X線分光法 (EDX) により評価した。500℃熱処理後の接合界面と比較して、接合界面付近に存在するGa, O, Siからなる混合層(中間層)が厚膜化していることを見出した。500℃熱処理後の接合界面と同様に、Ga2O3(010)基板接合における中間層厚に不均一性が認められた。 2. 直接接合により作製したp-Si(100)/n-Ga2O3(001)基板を用いたヘテロ接合ダイオードを試作し、その接合界面の電気的特性評価を行った。電流密度は、450℃におけるアニール処理によりアニール無しの場合と比較して大きく増加した。これは、接合界面に形成された中間層が薄層化したためと考えられる。更に、印加電圧-2 V近辺に変曲点を有する特徴的な容量-電圧特性から、接合界面に二次元電子ガスが形成されていることを解明した。更に、電気的特性からp-Si(100)/n-Ga2O3(001)接合界面付近のバンドアライメントを同定した。以上のように、高品質界面を有するp-Si/n-Ga2O3ヘテロ構造を直接接合で作製することに成功した。 3. Ga2O3(001)/SiC接合基板の熱伝導率のGa2O3基板厚依存性について、周期加熱放射測温法を用いて評価した。結果、室温接合後500℃で熱処理した接合基板において、Ga2O3厚さを薄層化するに従い熱伝導率は単調に増大し、Ga2O3基板厚10 μmにおいてGaNの200 W/mKを上回る約250 W/mKまで増大させることに成功した。以上の結果から、Ga2O3デバイスの放熱特性を改善させるために、SiC基板との直接接合および薄層化が有効であることを示した。
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