前年度までに、可視域にて透磁率を精密にコントロールできる新たなメタマテリアル構造を提案・実証するとともに、それを内包したメタマテリアルフィルムを用いることで、光学迷彩の評価を行ってきた。 本年度では、可視ハイパースペクトルイメージング系および位相干渉光学系を構築することで、光学迷彩の定量的評価を行った。具体的には、4f光学系と対物レンズを介して、広帯域光源からサンプルに光を照射し、その実像を可視可変フィルタをとおして撮像カメラにより観測した。また、ビームスプリッタによりサンプルへのパス以外に参照光のパスを用意し、これを開放することで位相干渉測定も行うことができるようにした(このときの光源には半導体レーザを用いた)。 本研究では、直径50 umのタングステンワイヤの周囲に適切に設計されたメタマテリアルフィルムを巻きつけたサンプルを準備し、それを金属パターン(東工大のロゴマーク)が形成された透明基板の上部に配置し、ハイパースペクトルイメージングを行った。結果、波長730 nmの赤色光において、巻きつけられたメタマテリアルフィルムが不可視化に寄与し、タングステンワイヤ下部のパターンを観測することに成功した。このとき、位相干渉測定もあわせて行い、メタマテリアルフィルムを巻きつけたタングステンワイヤの有無によって、干渉縞に変化がないことを確認した。
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