研究課題/領域番号 |
19H02196
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
石井 仁 豊橋技術科学大学, リーディング大学院教育推進機構, 特任教授 (20506175)
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研究分担者 |
齋藤 光正 産業医科大学, 医学部, 教授 (00315087)
町田 克之 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 特任教授 (90597676)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | Bio-MEMS / フォトゲート / 細菌センサ / レジオネラ |
研究実績の概要 |
本研究は、光、化学物質などの環境条件の変化に対する細菌の適応行動(ストレス応答)の動的過程を、光センサとMEMS(Microelectromechanical Systems)デバイスを組合せた集積化MEMSセンサによって観測し、細菌動態を生物学的、医学的に解明することと、その知見を基に「エレクトロニクスに創発された新細菌同定法へ展開」することを目的としている。 2019年度は、バイオフィルムなどの環境に常在する病原細菌の一つであるレジオネラ属菌を細菌の動的過程解明のモデル細菌とし、このレジオネラ属菌の紫外光や化学物質に対するストレス応答の動的過程を蛍光の時間変化として観測した。 フォトゲート型光センサを細菌同定に適用し、申請者らがすでに開発しているMEMS流路チップ中でのレジオネラ・デュモフィ、レジオネラ・エリスラのストレス応答の過程を蛍光物質の産生過程として観測し、特徴的な波長とその蛍光の時間依存性を把握し反応化学的解析によって反応速度定数として記述することに成功した。この検討においては、単画素のフォトゲートを用いて、数種のレジオネラ属菌のストレス応答の動的課程を観測し、レジオネラのストレス応答ルックアップテーブルとも言うべき細菌同定にとって基本となるデータを取得した。さらにフォトゲートのアレイ化に向けた初期検討としてフォトゲートを二つ用いたいわば二画素の素子を構成し、異なる蛍光波長の同時取得にも成功し、アレイ化の基本データの取得をすることができた。 得られた成果の一部は国内学会、さらには米国電気化学会の招待講演にて発表するとともに、二報の論文として公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
バイオフィルムなどの環境に常在する病原細菌の一つであるレジオネラ属菌を細菌の動的過程解明のモデル細菌とし、このレジオネラ属菌の一種であるレジオネラ・デュモフィとレジオネラ・エリスラについて、紫外光や化学物質に対するストレス応答の動的過程をそれらの発する蛍光の時間変化として観測した。フォトゲート型光センサを細菌の蛍光観測に適用し、申請者らがすでに開発しているMEMS流路チップ中でのストレス応答の過程をレジオネラ属菌の蛍光物質の産生過程として観測した。その結果、各々のレジオネラに特徴的な波長とその蛍光の時間依存性を把握し反応化学的解析によって反応速度定数として、レジオネラ属菌の特徴を記述する事ができた。この検討には、まず単画素のフォトゲートを用いて、レジオネラ属菌のストレス応答の動的課程を観測し、レジオネラのストレス応答ルックアップテーブルとも言うべき細菌同定にとって基本となるデータを取得できた。さらに、フォトゲートのアレイ化向けた基礎検討を進め、単画素のフォトゲートを二個用いて、いわば二画素のフォトゲートアレイを構成し、レジオネラ属菌からの異なる波長の蛍光の取得にも成功した。 以上の成果によりほぼ予定通り研究が進捗したものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度は、申請者らがすでに開発しているMEMS流路チップ中でのストレス応答の過程を蛍光物質の産生過程として観測し、特徴的な波長とその蛍光の時間依存性を把握し反応化学的解析によって反応速度定数として記述することに成功した。この検討においては、単画素のフォトゲートを用いて、数種のレジオネラ属菌のストレス応答の動的課程を観測し、レジオネラのストレス応答ルックアップテーブルとも言うべき細菌同定にとって基本となるデータを取得した。これを受けて、2020年度は、複数種類のレジオネラ属菌を混合した系を細菌叢モデルとして、この中からターゲットとするレジオネラをその蛍光特性の観測から識別する検討をさらに進める。この観測には豊橋技術科学大学にて作製するフォトゲート型光センサを用いる。このフォトゲートを集積化してアレイ化する基礎検討として、複数のフォトゲートをディスクリートに実装したシステムを構築し、細菌識別チップの構成技術を明確化する。
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