研究課題
バイオフィルムなどの環境に常在する病原細菌の一つであるレジオネラ属菌を細菌の動的過程解明のモデル細菌とし、このレジオネラ属菌の紫外光や化学物質に対するストレス応答の動的過程を蛍光の時間変化として観測する。フォトゲート型光センサを細菌同定に適用する。2020年度はコロナ禍のため共同研究先である産業医科大学への移動が不可であったため豊橋技術科学大学内のみで検討できる細菌センサのシステム化を目指した検討を進めた。このフォトゲートを集積化してアレイ化する基礎検討として、フォトゲートをディスクリートに実装したセンサチップを作製した。従来、蛍光特性の観測には大型の半導体パラメータアナライザを用いていたが可搬可能な小型チップ化とPCのみで蛍光観測可能とした。2021年度は、昨年度小型化に成功したフォトゲート型細菌センサチップをMEMS流路とハイブリッド化した細菌センサシステム構築をさらに勧めた。3Dプリンタを用いて作製した筐体にフォトゲート型細菌センサとPDMS製MEMS流路を実装し、3.5x13 cm2程度の小型可搬な細菌センサシステムを作製した。さらに、この細菌センサシステムを用いて、レジオネラ属菌の蛍光の動的過程を観測して、その特性をレジオネラ属菌のストレス応答として記録し、レジオネラ属菌の識別に成功した。この検討の過程でバイオフィルムのような多数の細菌生息環境からのみならず細菌の1細胞からの蛍光でも検知識別可能なことを明らかにし、この細菌センサシステムが単にウォーニングを発するのみならず細菌診断システムとしても使用可能性を持つことを示した。この内容は国際会議に報告するとともに応用物理学会欧文誌に投稿し2022年2月に採択された。これによって目標としたエレクトロニクスに創発された新たな細菌同定システムの構成技術を構築したと考える。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2022 2021
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Jpn. J. Appl. Phys.
巻: 61 ページ: SD1010
10.35848/1347-4065/ac5a25