研究課題
3つのブラッグ反射多層膜と2つの共振器層で構成する半導体結合共振器を使ったテラヘルツLEDの開発を進めている。電流注入による赤外二波長レーザ発振とその差周波発生を同一素子内で行うことを原理とする。差周波発生を最大限に高める分極反転型の結合共振器薄膜の作製は、高指数面基板上の副格子交換エピタキシー成長技術を利用する。放熱特性に優れた素子構造とすることで出力を高め、スペクトル計測を実現する。本年度は、昨年度に引き続き下部共振器層に電流注入を行う素子の試作とその発光特性評価を行って、放熱特性に優れる素子の実現を目指した。(001)と(113)Bエピウエハの直接接合による結合共振器薄膜を使って、下部共振器層に電流注入を行う面発光素子を試作した。本構造の形成には、2段階のメサエッチングが必要で、1段階目で剥き出しとなった表面に上部p電極をリフトオフプロセスで形成し、裏面にn電極を設けた。昨年度の試作で問題となった1段階目のメサとp電極の隙間に生じる光学損失を低減するため、横方向エッチングによるサイズ縮小を考慮したマスクパターンを新たに作製して用いた。接触抵抗のばらつきをもたらすエッチングの不均一は、スターラーを用いて改善した。試作素子は、室温パルス電流駆動で赤外レーザ発振した。閾値電流は25 mA程度と良好であったが、駆動電圧は15 V以上と非常に高かった。1段階目のメサエッチングで高濃度ドープのコンタクト層を剥き出しにすることに問題があったと思われる。量子井戸の発光波長が共振器モードよりも長波長側であったために長波側モードのみで発振した。二波長発振を得るために素子を冷却して評価したところ、光学窓内で形成される横モードによる複数ピークが顕著に観測された。これは、p電極にコンタクトしている層の抵抗が高く、窓中央部への注入電流が外周付近よりも小さいことにい起因していると考えられる。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Physica E: Low-dimensional Systems and Nanostructures
巻: 126 ページ: 114478 1-8
10.1016/j.physe.2020.114478