研究課題
昨年度から今年度にかけて実施した、「2つのSISミキサ間のミリ波伝送線路の位相遅延量」と「2つの局部発振器間の位相差」に着目した計算により、増幅器の利得および位相に非相反性が発現することを明らかにしている。これは2つのSISミキサを用いた増幅器構成に利得付きアイソレータや方向性増幅器としての機能を持たせることができることを意味する。この現象は、理論計算に加えて予備実験でも実証することができ、特許を出願するとともに査読論文も出版した。次に、理論と予備実験の知見に基づき、昨年度構築した雑音温度評価系を用いて新たに増幅器の性能評価を実施した。局部発振器の位相差と増幅器利得の関係を検証した結果、予測通り、位相差に対して利得の最大最小値が現れることを実験的に確認した。また、増幅器利得が最大となるように局部発振器の振幅と位相を設定することで、5 GHz以下の周波数帯において、利得は6-8 dB、雑音温度は11 K程度の性能を得た。利得と雑音温度のブレークダウンにより、アップコンバータの増幅器性能への寄与が大きいことも明らかにした。本年度は、さらなる増幅器の性能向上を目指してSISミキサの作製にも取り組んだが、装置や設備の不具合等により、新たな素子作製ができなかった。しかしながら、本研究の当初目標である「2つのSISミキサを用いた構成による超伝導マイクロ波増幅器が、冷却型半導体増幅器とほぼ同等の性能を出すことが可能であること」を示すことができたと考えている。また、本成果に基づき記者会見を開き、電波天文のみならず量子コンピュータ等の分野に関心を持つ複数の新聞社やWebメディア等で取り上げていただいた。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 6件、 招待講演 4件) 備考 (3件) 産業財産権 (1件)
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