研究課題/領域番号 |
19H02211
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
斎藤 豪 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (90452010)
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研究分担者 |
佐伯 竜彦 新潟大学, 自然科学系, 教授 (90215575)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 再生セメント / Ca/Si比 / C-S-H / 比表面積 / β-C2S / FT-IR |
研究実績の概要 |
再生利用可能なセメントの実現に向け、高活性β-C2Sとその水和により生成する高CaO/SiO2モル比(以下、CaO/SiO2モル比をC/S比と記す)の非晶質C-S-Hに関して検討した。本年度は、高活性β-C2Sが従来と異なる水和性状を示し、かつ非常に高い比表面積を持つ点に着目し、錯体重合法によりβ-C2S前駆体を作製して、その焼成により原子レベルの均一性と高比表面積を有するβ-C2Sの合成を行い、水和性状を評価した。得られた結果を以下に示す。(1)β-C2S前駆体の合成において、条件を変化させることで焼成物の組成のみならず、水和生成物の組成制御が可能であることが示された。 (2)SeriesIIにおいて、目標C/S比を2.0以下(1.5および1.0)とした試料においてもβ-C2Sの生成が確認された。さらにC/S比1.5以上の条件において、水和生成物中にCHの析出をほぼ伴わず高C/S比の非晶質C-S-Hが生成したことで、本手法をコンクリートに適用した場合においても再生利用サイクルが成立する可能性が示された。 (3)Series IIIにおいて、出発物質にコロイダルSiを用い、合成液相におけるエチレングリコールとクエン酸のモル比を1.0とすることで、高比表面積の(α’+β)-C2Sのみが生成する結果となった。 (4)Series IIIにおいて生成した高い比表面積を有する(α’+β)-C2Sを常温かつ短期間で水和することで、CHの共存しない高C/S比の非晶質C-S-Hが生成した。これは液相が高pHかつ高いCa濃度を有したことにより、Gartner&Maruyamaの提唱するC/S比2.0のモデルに整合した、高C/S比を有する非晶質C-S-Hが生成していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高Ca/Si比C-S-Hおよび高活性β-C2Sの合成については、共沈法および錯体重合法を用いることで生成可能であることが示され、再生セメント設計の実現に向けて順調に実験が進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度検討した中から、主に共沈法および錯体重合法によって作製した高C/S比C-S-Hを使用し、高活性β-C2Sの作製と、特に水和生成物の性状把握および水和反応機構へと実験を遂行し、再生セメント設計の確立を模索する。
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