[1]かぶりの剥落に対する中性化・雨水侵入の影響度の把握: 構造物は、愛知県、名古屋市などで補修中の橋梁を対象とし、建設年と環境などの条件により選定を行った。調査では、雨掛かり・剥落の有無、かぶり深さ、中性化深さのデータを収集し、これらのデータをロジスティック回帰分析により、剥落に対する中性化・雨水侵入の影響を定量的に評価することに成功した。これにより、コンクリート標準示方書では、鉄筋腐食の照査における因子として、中性化と雨水侵入を同等に扱うことの、工学的根拠を示すことができた。中性化により構造物の耐久性が照査されることになった歴史的経緯と合わせて、論文としてまとめた。 [2]かぶりにおける雨水侵入のメカニズムと空隙構造に基づいた構成則: 実構造物かぶりから採取したコアを用いて、各かぶり厚さにおける湿度の経時変化、雨水侵入限界深さの情報を取得することに成功した。また、これらの水分移動性状を理解するために、水分移動場となる空隙構造の情報を、コアの深さ方向における空隙構造の変化として取得した。現行の示方書における鉄筋腐食予測式は、雨水が鉄筋位置に到達する頻度により、鉄筋腐食のリスクを判定している。照査の精度を上げるために、第一に、実構造物のかぶりコンクリートにおける、腐食因子の雨水侵入による輸送量・頻度の実態を把握することに成功した。そして、水分移動に対する、(c)混和材がつくるインクボトル空隙の構造と影響について実験データとして把握することができ、トライボロジー現象再考の課題を得た。 [3]かぶりの雨水侵入抵抗性を評価する非破壊試験の提案: 混和材を用いたコンクリートにおける吸水・乾燥量と、連続空隙の各種空隙径に強い相関関係があることがわかった。実構造物では、吸水・乾燥(雨水の出入り)しやすい空隙を定量化する非破壊試験により、雨水侵入抵抗性が評価できる可能性を見出した。
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