研究課題/領域番号 |
19H02216
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
河合 慶有 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 准教授 (90725631)
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研究分担者 |
西田 孝弘 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, 主任研究官 (10345358)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 自己治癒 / 溶存酸素 / カソード反応 / 鉄筋腐食抵抗性 / ひび割れ補修 / 酸素・pHイメージング / マクロセル腐食 |
研究実績の概要 |
令和元年度は微生物代謝を利用したひび割れ補修効果の検討として、枯草菌を練り混ぜた供試体(曲げひび割れ及び断面修復工法)を対象として鉄筋腐食の長期的な曝露試験(室内乾湿繰り返し環境・自然環境)を実施している。本検討では、ACインピーダンス法(ミクロセル腐食)、無抵抗電流計(マクロセル腐食)、アノード・カソード分極試験(不動態被膜の健全性・酸素透過性)、4プローブ法(電気抵抗率)により、自己治癒補修効果の持続性を鉄筋腐食抵抗性の観点から評価する方法を検討している。一年間の曝露試験により、酸素透過の低減および腐食抑制効果が得られることが確認されている。また、溶存酸素濃度の低減に伴う自然電位の卑化現象についても水分飽和度が高い環境において材齢91日までに生じる現象であることを確認している。令和2年度は曝露試験を継続するとともに、非接触イメージング技術のノウハウの蓄積及びひび割れ中のpH・溶存酸素濃度の測定に取り組む予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
曝露試験を通じて、微生物代謝に伴う鉄筋腐食の抑制効果が確認されている。特に、分極抵抗・マクロセル計測・分極試験・電気抵抗率の測定結果から明確な腐食電流密度の低減効果が確認されており、令和2年度に実施予定の溶存酸素・pHイメージングによるひび割れ中の自己治癒補修過程の検討の準備は整っている。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度には、令和元年度から曝露試験を行っている枯草菌を練り混ぜた鉄筋コンクリート供試体を対象としてイメージング技術(VisiSens TD・PreSens)を用いて溶存酸素濃度およびpHの測定を試みる。本検討により、ひび割れの自律的修復過程のイオン移動の動態を解明し、ひび割れ補修効果を向上させるための方法を検討する。また、イメージング技術を用いた評価方法についてノウハウを蓄積する。これにより、乾湿環境下におけるひび割れ中のpHの変動(微生物代謝による溶存酸素濃度の低下およびpHの低下と水酸化カルシウムの溶脱に伴うpHの上昇)を捉え、ひび割れ補修効果を高めるための方策を検討する。例えば、アルカリ緩衝溶液の有無や外部からの有機栄養源およびカルシウム源の供給方法を検討し、補修効果の増強と持続性を保つ方法を検討する。
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