研究課題/領域番号 |
19H02218
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
加藤 佳孝 東京理科大学, 理工学部土木工学科, 教授 (80272516)
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研究分担者 |
伊代田 岳史 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (20549349)
加藤 絵万 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, グループ長 (90371765)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 発錆条件 / 細孔組成 / 予防保全 |
研究実績の概要 |
申請書の研究項目ごとに主な成果をとりまとめる. ①-1:発錆条件の理論的整理については,腐食が発生するまでの時間(以下,誘導時間)が,塩化物イオン濃度と鉄筋の電位によって変化することが新たにわかった.今回の設定電位の範囲では-125mVと-150mVの間に濃度-誘導時間曲線に対する電位の影響が増大する臨界電位が存在し,設定電位が臨界電位より卑であれば電位依存性が大きく,貴であれば電位依存性が小さいと考えられた. ②-1コンクリート中の浸透の簡易モデルについては,中性化と塩分浸透の2つに分けて検討を進めた.中性化については,中性化の有無による水分浸透性を実験的に把握しており,中性化の有無が水分浸透に多大な影響を及ぼすことがわかった.塩分浸透については,濃度を変えた連続浸せきや乾湿繰返しの試験を開始しているが,現時点では6か月程度の期間であり,明確な結論は出ていない.引き続き測定を継続する.なお,海水中に存在する硫酸イオン,マグネシウムイオンが塩化物イオンの浸透に与える影響については,過去の浸せき試験結果を分析することでとりまとめた.また,コンクリート中に存在する多種イオンによって生じる液間電位差が,イオンの移動に与える影響について,模擬的な実験系を提案し,それに基づいて基礎データの取得を試みた.これらの成果は,今後,実構造物中の簡易浸透モデルを構築する上で参考にする予定である. ②-3暴露試験および実構造物調査については,暴露試験を2020年の1月から開始した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画はおおむね予定通りに進んでいるが,実環境への暴露試験については,2019年度に試験場が被災したため,暴露試験の開始が半年程度遅れているため.
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今後の研究の推進方策 |
①-1:発錆条件の理論的整理については,引き続き実験を継続する.なお,2019年度の成果により,これまで考慮してこなかった時間の影響を考慮する必要性がわかり,これに関する実験を追加する. ①-2:当初予定通りに2021年度からの開始を予定している. ②-1コンクリート中の浸透の簡易モデルについては,中性化と塩分浸透の2つに分けて検討を進める.中性化については,中性化の有無による水分浸透性を実験的に把握することを進めており,その実験を継続して実施する.塩分浸透については,濃度を変えた連続浸せきや乾湿繰返しの試験を2019年度から開始しており,試験材齢が来たものから随時測定し分析する.また,浸せき試験とは別に作成した試験体を用いて,非定常の電気泳動試験による物性値の取得も行い,これらの結果を相互に比較分析する.あわせて,②-3の暴露試験結果との比較も実施する. ②-3暴露試験および実構造物調査については,暴露した試験体の分析を実施する. ②-2および③については,①-1で明らかとなった新たな検討課題の検討結果を受けて,随時計画を変更しながら進めてく予定である.
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