研究課題/領域番号 |
19H02221
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
水谷 司 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (10636632)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 地中レーダー / 埋設管 / 空洞 / AI / ディジタル信号処理 / 三次元位置推定 |
研究実績の概要 |
本研究では,車載型地中レーダーにより大規模に地中空間のデータを取得する.そして非学習型で解析学的処理の代表格である「ディジタル信号処理」と進展目覚ましい学習型処理の「最先端のAI」を高度に活用することで,「非可視空間情報」である地中内部の埋設管などの「三次元位置情報」を自動で推定する技術の基礎を確立することを本研究の目的とする. 本年度はデータ処理アルゴリズムを構築した.アルゴリズムの開発は,解析システムの確立のしやすさを考えて,すべてMATHWORKS社製の汎用数値計算ソフトウェア「MATLAB」をベースに行った.全体の処理フローは①レーダーデータのゲイン調整などの「前処理」,②三次元畳み込みニューラルネットワークAIによる「中央処理」,③ディジタル信号処理による「後処理」である地中内部の反射物の反応を局在化させ大きさを推定する「マイグレーション」アルゴリズムを実装するステップも入れた3段階である.人工知能開発のため1万オーダーのオリジナルデータのアノテーションを実施して教師データを取得した.教師データ収集の労力を大幅に低減するため,埋設管と空洞のレーダー画像をタッチすることで自動で所定の画像サイズで切り出し保存する「アノテーターグラフィカルユーザーインターフェース」の開発も行った.構築したアルゴリズムを既に計測した試験フィールドデータに適用し,埋設管などの三次元位置情報の検出能について基礎的な検討を実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前述の通り,本年度はデータ処理アルゴリズムを構築し,当初の予定通り,①「前処理」,②AIによる「中央処理」,③ディジタル信号処理による「後処理」である地中内部の反射物の反応を局在化させ大きさを推定する「マイグレーション」アルゴリズムを実装するステップも入れた3段階のそれぞれのアルゴリズムを実装した.人工知能開発のため1万オーダーのオリジナルデータのアノテーションを実施して教師データについても予定通り取得することができた.さらに「アノテーターグラフィカルユーザーインターフェース」の開発についても順調に進んだ.また,試験フィールドデータでの精度検証も順調に進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
今後はさらに地中レーダーデータの自動解析システムの構築を進める.解析アルゴリズムは従来通りディジタル信号処理とAIの活用を考えており,まずAIにより三次元データの中からおおよその埋設管などの位置情報を推定する.そのおおよその推定エリアについて,ディジタル信号処理により逆解析を実施することで,高精細に埋設管などの位置情報を推定することを試みる.解析用PCとして,NVIDIA社製のマルチGPUを搭載した高機能PCを利用する.逐次処理できる準リアルタイム解析システムの将来的な運用を目指し,高速化を試みる.本システムにこれまで開発してきたアルゴリズムを実装することで「三次元地中空間情報」を得ることができると考えられる.
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