研究課題/領域番号 |
19H02233
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
笠間 清伸 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (10315111)
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研究分担者 |
畠 俊郎 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (30435424)
高橋 章浩 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (40293047)
北詰 昌樹 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (70359230)
古川 全太郎 九州大学, 工学研究院, 助教 (70735985)
堀越 一輝 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (90771965)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 地盤改良 / 自己修復 / セメント改良 |
研究実績の概要 |
本研究では,建設副産物の自己硬化性や微生物による強度回復特性を実務レベルにまで加速・強化して,ゲリラ豪雨や巨大地震などにより一旦せん断破壊を受け地盤が,せん断面を自ら「治癒・修復」し,3日以内に90%以上のせん断剛性・強度まで「自己回復」する地盤改良技術の開発を目指す。本年度は,繰返載荷を受けた後の固化処理地盤の強度特性を明らかにするため,遠心場および重力場における支持力試験を行った.さらに,それらの原因について解明するため,支持力実験を再現した数値解析を行なった.本章では,得られた結果を基に結論を述べる. 1) 重力場固化処理地盤の支持力試験において,荷重沈下曲線はピーク強度まで急激に上昇し,ピーク後急激に強度が減少した.また,正規化沈下量は(1~3)%と小さな変形量で破壊した.遠心場でも同様に小さな変形量で破壊が見られたが,重力場とは違いピーク強度後に急激な強度の低下は見られなかった. 2) 重力場で固化処理地盤に繰返載荷を与えると,補助剤の添加量によらず,繰返載荷履歴による極限支持力の低下は見られなかった.重力場では,強度が(1~1.75)倍ほど増加した.実スケールを再現した遠心場の実験でも同様に,極限支持力の低下は見られず,極限支持力が(1~1.59)倍増加した. 3) 繰返載荷30回目まででは,繰返回数と沈下量は線形的な関係を示し,徐々に塑性ひずみが蓄積した. 4) 従来のカムクレイモデルおよび下負荷面モデルに,固化処理土の固結力を加味した固結効果モデルを導入することにより,今回解析の対象とした一軸圧縮試験や支持力試験における応力ひずみ関係および荷重沈下関係の初期勾配の増加や強度をうまく表現することができた.また,繰返レベル70 %で極限支持力が最大値を示し,繰返載荷により極限支持力が増加した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
次年度に予定していた遠心模型実験および重力場における支持力実験が順調に終了し,地盤材料の自己回復特性の把握および最適な配合条件が明らかとなった。並行して有限要素法を用いた自己修復材料の再現解析にも着手し,良好な再現性を得ている。このような状況から,スムーズな最終年度への研究に移行できる体制が構築されている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度においては,自己治癒・修復・回復性を有する地盤材料は,せん断強度定数が時間とともに回復(増加)していくため,この過程を土質力学的な観点からだけではなく強度を回復させる水和物の反応率に着目した新たな構成式を構築する。構築した構成式を用いて自己修復地盤をモデル化し,地盤の改良過程から降雨および地震による変形・破壊,その後の自己治癒・修復過程を想定した改良地盤の長期的安定性を評価する。特に,2016年熊本地震で発生した深層崩壊に着目し,ゲリラ豪雨と地震動の複合・連鎖発生を想定した斜面崩壊から土砂移動における現地調査結果と比較することで,提案する解析手法の精度を定量的に評価する。最終的には,本開発技術で改良・補修する際の最適改良形状よび最適な改良深度を提案する。
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