研究課題/領域番号 |
19H02240
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
末政 直晃 東京都市大学, 建築都市デザイン学部, 教授 (80206383)
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研究分担者 |
伊藤 和也 東京都市大学, 建築都市デザイン学部, 教授 (80371095)
田中 剛 東京都市大学, 建築都市デザイン学部, その他 (80468818)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 混合微粒子注入工法 / 液状化対策 |
研究実績の概要 |
宅地にも適用可能な廉価な液状化対策としての混合微粒子注入工法の確立のために、以下のことを行った. 第一に注入する粉体の微粒子化技術を確立するための実験を行った.本研究では粉砕効率を高めるため、現場製造可能なラボ用小型湿式粉砕装置であるスターバーストを用いて粉砕実験を行った.液状化抑止に有効とされるいくつかの粉体材料を粉砕し、それらの粒径分布の計測を行い得られたデータを集計・分析し、粉体材料ごとに粉砕効率の高い条件を模索した.その結果、溶融シリカについては湿式粉砕が可能で、マイクロオーダーの平均粒径になることが確認できた.一方高炉スラグについては湿式粉砕が難しい事が判明した. 第二に対象地盤に適した注入材料の選定を行った.まず前年度に固化可能性のある複数の微粒子を組合せ、比率を変えた約40ケースについて固化実験を行ったが、新たに約40ケースを追加して固化実験を行った.さらにこの中から選定した10ケースでは混合微粒子を砂供試体に注入し固化させ、圧縮強度・液状化抵抗試験を行い、各配合の強度特性を調べた.実験の結果、注入材料の高炉スラグや酸化マグネシウムは対象土を固化させることが確認でき、その他の固化が確認できた試料についても最適な配合を調査している. 第三に廉価な微粒子注入の実用化のためには浸透可否評価の高精度化が必要不可欠であると考え、対象地盤に浸透可能な微粒子径と浸透範囲の設定を行った.模型地盤に微粒子を注入固化させる実験を実施するために、三次元注入を模擬した模型装置を試作している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染予防対策のための出張自粛により、現場実験およびラボ用小型湿式粉砕装置が設置してある実験場に赴いて粉砕実験を頻繁に行なうことが困難であったため、計画通りに実験を行うことができなかった。また必要な試料の入手や、注文した模型土槽作成の遅れが生じたため、実験が予定通りスタートできなかった。 研究室で実施できる実験についても、年度初めの大学研究室への入構規制等のため若干遅れ気味ではあったが、後半には順調に行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
まず粉体の粉砕効率の高めるため、液状化抑止に有効とされるいくつかの粉体材料を用い粉砕実験を行い、粒径分布の計測・分析を行う.ラボ用小型粉砕機を利用し粉砕実験を繰り返し、粉体材料ごとに粉砕効率の高い条件を調査する.湿式でマイクロオーダーの平均粒径まで粉砕することが可能である溶融シリカについては、現場製造・現場注入の実現に向けてさらなる研究を進めていく.湿式粉砕が難しい高炉スラグのような硬質材料については、乾式粉砕の可能性を模索するとともに、他の材料などについても確認する. 次に対象地盤に適した注入材料の選定を行う.液状化との関係性が高いとされる数種類の土試料(シラス、まさ土、胆振火山灰質土)に、いくつかの混合微粒子を注入し、固化した模型地盤に圧縮強度・液状化抵抗試験を行い、各配合の特性を把握する.液状化抑止の強度を高めるために、最も適した微粒子と最も適した配合を選定し、微粒子の材料や配合の違いが改良効果に与える影響についてのデータを蓄積する.対象土の固化を確認できた高炉スラグや酸化マグネシウムについては、固化後の耐久性を調査するとともに、より適した配合を検討するために配合実験を行う. さらに対象地盤に浸透可能な微粒子径と浸透範囲を設定する.廉価な微粒子注入の実用化に必要な浸透可否評価方法を確立するために、種々の浸透実験を行う.三次元注入を模擬した模型装置を試作し、この模型地盤に微粒子を注入固化させる実験を実施して、注入可否の妥当性や修正、浸透距離・固化時間の推定方法を検討する.取得した実験結果を元に、未だ確立されていない微粒子の3次元注入に対する検証および注入可否の判定式を検討する. 最後にそれぞれの実験結果のデータを集計・分析し、得られた結果を取りまとめ学会発表を行う.
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