研究課題/領域番号 |
19H02250
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
厳島 怜 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (30737656)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 河川汽水域 / 潜在自然河相 / 生息場構造 / 粒度分布 / 人為的インパクト / 河道特性 / 潜在生物相 |
研究実績の概要 |
伊豆半島及び房総半島に位置する60河川の地形測量、物理環境調査及び河床材料の粒度分布調査を行った。加えて、河川地形に影響を及ぼす流量変動特性を明らかにするため、地形、地質、土地利用を説明変数とした流量モデルの構築を行った。現地調査及び統計解析の結果、水域の生息場構造は、川幅水深比、河床縦断の凹凸度、流路の蛇行度及び低水路の比高差が大きい河川でより複雑となる傾向が確認された。特に、水域の生息場構造のうち、早瀬の割合が大きい河川では、川幅水深比が大きい傾向がみられた。よどみ及び淵の止水域は蛇行度が大きい河川で確認された。また、川幅水深比、河床縦断の凹凸度、及び流路の蛇行度が大きい河川では、河床材料の粒度の幅が広く、多様な陸域の生息場構造がみられた。人為的インパクトと生息場構造の関係を解析した結果、河川改修により川幅が低下した河川で生息環境の多様性が低い結果となったが、土地利用等の間接的インパクトとの明瞭な関係はみられなかった。更に、河川汽水域の潜在生物相を明らかにするため、房総半島に位置する27河川及び下北・津軽半島に位置する25河川にて魚類調査を実施した。非計量多次元尺度法による解析の結果、河川汽水域の魚類相の序列化は、河川汽水域の河床勾配、開放度、direct fetchと有意な関係がありこれらの変数は河川汽水域の潜在的物理環境の形成だけでなく生物相にとっても重要な指標であることが示唆された。下北・津軽半島の調査結果から、当該地域の河川汽水域の魚類相の形成において、津軽暖流の影響が大きいことが示唆されており、地形的影響に加え、海域の影響を考慮することの重要性が示された。また、房総半島の調査結果では、河口閉塞を生じた河川汽水域の魚類相が顕著に劣化されていることが示され、河川汽水域の環境保全に際し、河口砂州の動態といった動的な要因が重要であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標とした現地調査地点数には達していないが、河川汽水域の生息場構造に影響を及ぼす要因を抽出できている。加えて、生物相の調査を実施し、生物相及び物理環境の両者の観点から重要な環境要因を特定できていることから、研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
河川汽水域の生息場構造、河川地形、河床材料の粒度分布調査を継続して行い、河川汽水域の生息場構造の解明を行う。また、物理環境だけではなく、生物相 の観点から環境評価を行う必要があることから、魚類調査を並行して行う予定である。
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