研究課題
気候変動に関する大規模アンサンブルデータベースd4PDFデータで校正した全球確率台風モデルGSTMについて,例外的に強い台風の処理を変化させた場合の結果を比較した.その結果,平均的な台風の再現性は高いままに,極端台風の発生頻度をやや抑えることができた.中心気圧の頻度分布比較からGSTMは元のd4PDFよりも,観測値のそれとの一致度が高くなっていることが示された.日本周辺海域における過去から将来の海面水位変化の特性と不確実性を明らかにし,力学的海面高度を考慮した海面上昇量を定量的に評価した.d4PDFおよびGSTMデータを用いて,2019年台風19号の類似経路の再現期間およびその将来変化の評価を行った.また,東京湾にとって最大クラス高潮を引き起こす経路の再現期間を算出した.将来気候において台風の発生個数が減少するという作用が経路変化や強度変化よりも長期評価に大きく影響することがわかった.GSTMと高潮モデルSuWATを用いて高潮解析を行い,瀬戸内海を対象に高潮簡易予測式を提案し,d4PDFを用いて高潮の将来変化を評価した.これまでの研究成果と同様に,将来気候では現在気候と比べて高潮リスクが高まる予測結果が得られた.畳み込みニューラルネットワークCNNを用いて,気象場(気圧・風速)の時空間的な情報から高潮の時系列を予測した.高潮の予測に重要な説明変数やハイパーパラメータ,学習データ数を比較し,気象の再解析データを用いてCNNの予測精度を検証した.d4PDFを用いて,CNNによる高潮の長期評価を行った.再現期間が長くなると,現在気候下の高潮より将来気候下の高潮の方が高くなる結果が得られた.フルスケールで実施された越波・越流遷移実験を基にして,波浪の影響や浸水流量の時間変化を適切に再現可能な,越波・越流遷移モデルを開発し,高波・高潮結合シミュレーションモデルSuWATに実装した.
2: おおむね順調に進展している
コロナ禍による国際会議の延期で成果発表が十分にできなかったが,それ以外については,おおよそ想定していた進度で計算を進めることができた.
ディープラーニングによる気象場を用いた海象予測モデルとして,CNNを用いていたが,LSTMの適用性について検討する.高潮モデルSuWATと確率台風モデルを組み合わせて,大阪湾を対象にL2高潮の再現確率を推定する.
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 1件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 10件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
土木学会論文集B2(海岸工学)
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