研究実績の概要 |
Taktfahrplan(タクトダイヤ)の概念について、文献等によってそのメリットや確立までの経緯を整理した。Taktfahrplanはスイス連邦鉄道の英文資料では、Cyclic,symmetric and integrated timetableと表現されている。Cyclicについてはパターンダイヤとも呼ばれて日本でもよく知られた概念であるが、Symmetricは日本では明確には意識されていないことから、その意味や活用可能性について考察した。Symmetricは鉄道ダイヤを表現するダイヤグラムの形が左右対称になっていることを表している。単線の場合はすれ違い箇所が限定されるため、ダイヤグラムは必然的に左右対称となる場合があるが、複線においては必ずしもその必要があるわけではないにもかかわらず、あえてそのようにしていることの意味をスイス・オーストリア等における研究論文から把握した。また、その概念をネットワークに適用すると、主要駅に各方向の列車が定期的に集まることになり、そのことによって路線間の相互の乗り換えが可能となることから「ランデブーコンセプト」とも呼ばれていることを示し、わが国においてもそのような方向を目指すことができる可能性について整理した。また、スイスなどでは20年以上の年月をかけてこの概念を確立するとともに、実際のダイヤ改良に適用しており、そのために線路改良・すれ違い設備の設置・車両性能の向上・信号システムの改良等の設備投資を進めてきたことを明らかにした。
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