研究実績の概要 |
諸外国で進められてきたダイヤ研究のサーベイを行ってきた。Taktfahrplanは英語では、Cyclic,symmetric and integrated timetableと表現されており、cyclic,symmetric, integratedのそれぞれの概念が有する意味を日本のダイヤの現状と照合しながら整理した。 とりわけ、Symmetricは日本では明確には意識されていない概念であり、その有用性について考察した。スイスなどでは20年以上の年月をかけてこの概念を確立しており、この概念の確立過程とそれをどのようにして実際のダイヤとして実現してきたかについて調べた。 Taktfahrplanはダイヤ作成技術だけでは実現は難しく、その達成のために設備投資等を行う必要があり、スイスなどはこの目標に向かって、すれ違い設備の設置や車両性能の向上等の設備投資に努めてきたことによって実現できたものであるため、その具体的な内容を調べた。 また、Taktfahrplanの有効性の定量的評価を行うために、スイスなどのダイヤの変遷を分析して、鉄道ダイヤの状況とダイヤによる路線活力の定量的分析を開始した。さらにダイヤ改良前後においては利用者数の増加や運営費の大幅な削減が達成されたと報告されており、それらの具体的な要素について分析する方法について検討した。 さらにそれ以外の効果として、遅れが発生した時にも、あらかじめ最適な対応方法を準備しておくことができることなどTaktfahrplanの考え方には優れた点が多いことを示した。加えて、遅れに対応したダイヤをあらかじめ数値化しておくことは、変更後のダイヤを駅のディスプレイに直ちに表示することにもつながることなどについても日本の鉄道事業者が認識できるようにするため、このような効果の事例を具体的に収集してきた。
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