研究課題/領域番号 |
19H02264
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
石倉 智樹 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (30356050)
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研究分担者 |
小池 淳司 神戸大学, 工学研究科, 教授 (60262747)
山崎 雅人 名古屋大学, 減災連携研究センター, 寄附研究部門准教授 (60628981)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | SCGEモデル / 経済集積の外部性 / 災害 |
研究実績の概要 |
・既存の空間的応用一般均衡モデルにおいて,地域間の交通(人流)・輸送(物流)が,どのような定式化によりモデル化されているかをレビューし,各種手法の特徴・長短所を整理した. ・既存の空間的応用一般均衡モデルにおいて,地震,水害,火山噴火,電力喪失等の災害による直接的な影響がどのような外生的入力として扱われているかをレビューし,各種手法の特徴・長短所を整理した.特に,災害影響の時間視野,すなわち災害被害継続期間や復旧時間に関する前提条件の扱い方に焦点をおいて整理した. ・市町村単位あるいはより詳細に分割された地域単位で構成される多地域経済システムを対象としたSCGEモデルの標準形を確立した. ・応用一般均衡モデルと利用者均衡配分モデルを統合するモデルのプロトタイプモデルを構築した.これにより応用一般均衡モデルの地域間および地域内交易の水準と道路網における貨物自動車の走行台数を整合的にシミュレーションできる.また道路ネットワークのリダンダンシーを経済的な観点から評価する上でも利用する事ができる.今年度は同プロトタイプモデルを用いて,道路寸断がもたらす経済被害および交通量の変動に関するシミュレーションを行い挙動を確認した.挙動確認の結果,定性的に解釈可能な結果を得る事ができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた研究実施計画に沿った成果が得られている.
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今後の研究の推進方策 |
・標準的なSCGEモデルが描く物流輸送に加え,旅客交通のメカニズムを包含するモデリング技法を構築する.欧州で開発された人流交通も含むSCGEモデルで利用された理論的枠組および,都市圏における政策効果分析に用いられる土地利用交通統合モデル分野の先端技法である応用都市経済(CUE)モデルで用いられたモデリング技術を援用し,日本の輸送・交通システムの実態に合わせた定式化へと改良する. ・災害に起因するハザードの影響が,ハザード要因の消失とともに軽減され常時の経済状態へと回復する過程において,経済状態の推移を表現するモデル化技法を構築する.このため,モデルを逐次動学的体系として拡張することを予定している.本技法により,防災・減災政策がもたらすレジリエンス(強靭性)の変化として,リダンダンシー確保の効果をSCGEモデルの理論的枠組みと整合するよう適切に評価可能となる. ・構築したモデルの理論的枠組みを基に,実際の多地域データに適用して演算するシステムを構築する.多様な実務利用者を想定し,複数のプログラミング言語で実行可能な演算環境を整備する.
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