研究課題/領域番号 |
19H02272
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
本多 了 金沢大学, 地球社会基盤学系, 准教授 (40422456)
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研究分担者 |
田中 宏明 京都大学, 工学研究科, 教授 (70344017)
渡部 徹 山形大学, 農学部, 教授 (10302192)
西山 正晃 山形大学, 農学部, 助教 (10802928)
原 宏江 金沢大学, 地球社会基盤学系, 助教 (70823524)
松浦 哲久 金沢大学, 地球社会基盤学系, 助教 (90771585)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 薬剤耐性 / 雨天時下水越流水 / 合流式下水道 / 微生物起源追跡 / 残留医薬品類 |
研究実績の概要 |
昨年度の現地調査に基づき,淀川流域の西高瀬川を設定した。5つの地点を採水地点として選定し,上流から,下水処理場#1の上流,下水処理場#1の下流,下水処理場#2の上流,下水処理場#2の下流,最下流の5地点を選定した。11月,3月の3回の晴天時調査を行い,河川水,底泥を採取するとともに,流量測定を行った。また,3月には3回の雨天時調査を行い,うち1回で雨天時越流水を含む試料を採水した。得られた河川水試料は透析膜にて濃縮後遠沈したものからDNA抽出を行った。底泥は遠沈したものから砂利を取り除いてDNA抽出を行った。また,河川水試料からは固相抽出により微量化学物質マーカー用の濃縮試料を得た。 また,上半期は調査を行うことができなかったため,前年度に5箇所の下水処理場で採取した流入下水,汚泥,放流水中の薬剤耐性遺伝子プロファイルを比較し,未処理下水(流入下水)と処理水(放流水)に特徴的な薬剤耐性遺伝子の抽出を行った。その結果,未処理下水と汚泥でそれぞれ特徴的な耐性遺伝子プロファイルが見られ,処理水は未処理下水と汚泥の中間的なプロファイルを有することがわかった。この結果に基づき,河川試料で分析対象とする薬剤耐性遺伝子を選定した。その結果,未処理下水に比較的多い遺伝子として,キノロン系,セファロスポリン系,アミノグリコシド系薬剤に対する耐性遺伝子を,処理水に比較的多い遺伝子として,sul1および排出ポンプによる多剤耐性遺伝子を,分析対象の遺伝子として選定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上半期は新型コロナウイルス感染症の流行により現地調査を行うことができなかった。そのため調査が下半期にずれ込み,マーカー遺伝子およびマーカー物質の分析が年度内に完了することができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度採取した試料から抽出したDNAおよび微量化学物質の分析を行う。選定した薬剤耐性遺伝子と,微生物起源マーカー遺伝子および汚染起源マーカー物質を対象として分析を行い,晴天時における各地点のマーカー間の相関関係から,晴天時の河川中の薬剤耐性の起源を推定する。また,雨天時の試料からも同様の分析を行い,雨天時の河川中の薬剤耐性の起源と時間変化を明らかにする。
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