研究課題/領域番号 |
19H02276
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
渡辺 幸三 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (80634435)
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研究分担者 |
加藤 幹男 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 教授 (30204499)
竹門 康弘 京都大学, 防災研究所, 准教授 (50222104)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | メタバーコーディング / 河川 / 底生動物 / 環境DNA |
研究実績の概要 |
【項目1 DNAデータベースの超高速拡充】申請者らが保管する昆虫標本を使って,DNAバーコーディングに良く用いられるマーカーの配列を解読した。研究初年度となる本年度は生物試料とその塩基配列データ(18S rRNA、ヒストンH3、ミトコンドリアCOI)を整理した。現時点までに収集した試料についてはウエブサイトに公開した( http://www.b.s.osakafu-u.ac.jp/~mkato/J-amir_home.htm )。また,各マーカーを増幅するPCRプライマーに各標本を標識する人工配列を付加するための実験プロトコルの最適化に成功した。
【項目2 定量DNAメタバーコーディング法の開発】リアルタイムPCRの原理を応用して, 深度の増殖曲線(PCRサイクル数と深度の関係)を定式化することで,鋳型DNA中の各配列型の初期頻度(∝相対個体数・相対重量)を推定する技術開発に着手した。まず,PCRを12段階のPCRサイクル数(20,24,28,・・・,56,60,64 )で行った。この際,各サイクル数の認識コード配列(6塩基)をプライマーに付加して,解読される各DNA配列のサイクル数を認識した。そして,Operationa Taxonomic Unit (OTU)ごとに深度の増殖曲線式を推定して,初期鋳型DNA中の各配列型の初期頻度を推定した結果,OTUによっては高い精度で推定できたが,そうではないものもあった。
【項目3 砂州を活用した効率的な環境DNA回収技術の開発】天竜川中流域に分布する3つの砂州を選び,各砂州の上流端(伏流地点),下流端(湧水地点),砂州中央部の3地点において河床間隙水と河床材料を3サンプルずつ採取した。採取したサンプルからそれぞれ環境DNAを抽出して濃度定量した。そして,環境DNA(河床,表層水)と群集DNAのメタバーコーディング解析を行うためのDNAライブラリーを作成し,MiseqによるDNA配列データの解読を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究項目1,2,3で予定していた研究計画を概ね実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
項目2(定量DNAメタバーコーディング法の開発)で進めている初期鋳型DNA量の推定精度が悪い種が多いため,PCR条件の最適化や複数マーカーを組み合わせた時の精度改善効果を検証していく必要がある。
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