研究実績の概要 |
ウズベキスタンの西端に位置するカラカルパクスタン自治共和国ヌクス市に設置した試験圃場で4種の好塩性植物 (Atriplex nitens, Karekinia caspia, Kochia scoparia, Salsola dendroides)を培養し、その生育ならびに体内に蓄積する塩の度合いを分析した。施肥(NPK)によって植物のバイオマス量が10-20%ほど向上することが確認されたものの、当地の水不足により、灌漑の効果を確かめることはできなかった。一株あたりの塩の蓄積は植物の生長がピークである9月頃に最大となった。これ以降は株のバイオマスが徐々に減少するため、塩除去の観点では植物を8-9月頃に収穫することが望ましいと考えられた。試験の好塩性植物はいずれも40-100 gNaCl/株で塩を蓄積していた。いずれの植物も株高と乾燥重量はほぼ比例していたことから、それぞれの種において圃場で株高を測定することでバイオマスに蓄積した塩の量を簡易的に算出できるようであった。圃場の塩害土壌はおよそ13 gNaCl/kg-乾重土壌で塩を含有していた。このことから、これら好塩性植物を生育させることで、1株あたり3-6 kg-乾重土壌の塩を浄化できると予想された。 また、ウズベキスタンの東端に位置し、日射と気温がヌクスよりも低いタシケント市に設置した小規模圃場でAtriplex nitensとKochia scopariaの成長をヌクス市内の圃場栽培と比較した。Atriplex nitensのバイオマスはヌクス市内の圃場で得た量の約50%に留まったことから、当該種の成長は日射・気温が強く影響すると考えられた。Kochia scopariaの成長は二つの圃場で大きく違わなかったことから、この植物はウズベキスタンで汎用的に塩害土壌の浄化に用いることができる可能性がある。
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