研究成果の概要 |
本研究の目的は多角形断面のモジュラータワーを持つ風力発電設備の実用化に向けた合理的な耐風設計法の確立である。風圧実験,風力実験及び振動実験による研究成果をまとめると以下となる。 上部構造物の風力がタワー部の風力より大きく,断面の違いによる影響は小さいことが分かった。タワー部では, 4角形断面の風力が最も大きく, 断面の辺数が多くなるにつれて円断面の風力に近づく。なお,FEM解析よりも,上部構造物を考慮すると断面の違いによる差が小さいことが分かった。振動実験より,4 角形断面で不安定振動が, 他断面では渦励振と考えられる振動が見られたが,風車では不安定振動や渦励振は見られなかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本で風力発電設備が1990 年代後半から本格的に導入されてから,構造物としての取り扱いは20 年あまりである。風力発電設備の大型化に伴い従来の円断面タワーは製作上の問題, 断面強度の問題,輸送上の問題等が指摘されている。その対案として多角形断面モジュラータワーが検討されているが,強風に対する耐風安全性はまだ十分に議論されていなく, 日本を含めた国際規基準でも多角形断面モジュラータワーに関する基準はない。日本での風力発電の導入可能量は太陽光の10倍, 地熱と中小水力の100倍と言われており, そのポテンシャルは圧倒的に高いことを考慮すると, 本研究成果は学術的にも社会的にも大きな意義を持つ。
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