人体の快適感・温冷感と生理との、時間的・局所的ズレや、人体周辺のCO2濃度の影響を分析した。また、既存人体モデルへの組み込み、実際に感じる快適感の予測モデルにつなげるため、パルス気流制御技術の開発とその制御方法の検討を行った。 ①人体周辺環境の非定常・局所分布を考慮した人体生理と快適性、生産性の検証と、多分割人体体温調節モデルへの組み込み、CO2モデルの追加 『非定常性、および局所分布を考慮した検証』では、VAVの非定常気流により人体表面の気流到達量を検討し、旋回流による非定常気流により被験者実験で時間変動及び人体の部位の感度を検討した。更に机上面に設置したパーソナル吹出気流による人体への局所冷却量をサーマルマネキンで検証し、非定常な生理的要素が中立温度、快適性へ与える影響を分析した。また人体の温熱・湿度環境に対する許容制御幅を導き出すことで、夏期28℃一定制御ではない、無理のない環境緩和制御を導入することを検討した。『CO2濃度を考慮した検証、CO2モデルの追加』では、CO2濃度変化に対する被験者の主観申告、生産性と呼吸・心拍数、血中CO2分圧(PCO2)などの観測を行い、人体周辺のCO2濃度変化と生理量、心理量、作業量との相関の分析を行った。 ②個人差に対応したパルス気流制御を基にした空調システムの検討 『人体周辺の温湿度・CO2予測モデルを開発』では、開発した温湿度・空気質の輸送を予測する対流拡散モデルの精度検証を実施し、適用可能性を検討した。『パルス気流制御を組み込んだ空調システムの検討』では、改修したパルス気流送出ユニット、温熱環境実験室において被験者実験を行い、パルス気流制御を組み込んだ空調システムの検討を行った。LESによる非定常CFDを実施することで、目標に対して精度よく渦輪状の気流を到達させる能力と、必要な熱・新鮮外気の搬送能力の検証を行った。
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