研究課題/領域番号 |
19H02306
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
篠原 直秀 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (50415692)
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研究分担者 |
鍵 直樹 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (20345383)
関根 嘉香 東海大学, 理学部, 教授 (50328100)
水越 厚史 近畿大学, 医学部, 講師 (50520318)
東 賢一 近畿大学, 医学部, 准教授 (80469246)
金 勲 国立保健医療科学院, その他部局等, 上席主任研究官 (00454033)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | フタル酸エステル類 / 挙動 / 経皮曝露 |
研究実績の概要 |
フタル酸エステル類は、プラスチック製品の可塑剤として広く使用されており、蒸気圧の低さと吸着性の高さから、粒子や壁面へ吸着しやすいことが知られている。ヒトの皮膚へも吸着し、経皮曝露に繋がる可能性がある。本研究では、日常生活におけるフタル酸エステル類への経皮曝露量の測定方法を検討し、測定した。 添加回収率は、DEP 42%±2.2%、DPP 79%±2.0%、DiBP 78%±3.1%、DnBP 87%±1.8%、DhexylP 94%±4.1%、DpentylP及びBBP(分離できず)105%±3.0%、DCHP 91%±2.0%、DEHP 91%±5.1%であった。DEPやDBPなどの沸点の比較的低いフタル酸エステル類は回収率が低かったが、回収率は安定していた。 7日間の経皮曝露量は、個人間で大きく異なっていたが、両腕の結果の違いは小さかった。DEHPへの曝露量は0.12~0.49 μg/cm2(上腕)・0.70~5.5 μg/cm2(足裏)と、他の物質より1桁以上高い曝露を示していた。DPP、DhexylP、DpentylP、BBP、DCHPについては、全て定量限界以下であった。また、足裏の曝露量は上腕における曝露量より高かった。 1日間サンプリングでは、DEPについても全て定量限界以下だった。両手首や両腕や両大腿背部の違いは部位ごとの違いより小さかった。7日間のサンプリングと同様に、DEHPの経皮曝露量が高く、足裏の曝露量が高かった。 DEHPへの足裏の曝露が高いのは、床面からの直接接触による曝露によるものと考えられる。 今後は、被験者数を増やし、他の曝露経路も含めた曝露評価を行う。また、実際の皮膚への吸着量と濾紙への吸着量の違いについて検討し、本サンプリング結果と実際の経皮曝露量の補正ができるようにする。また、皮膚透過モデルを構築し、経皮曝露量の推定を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
住宅における実態調査も10件以上行った。経皮曝露についても約10人でサンプリングを行った。また、実験室での複数の種類のダストへの吸着試験も実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、被験者数を増やし、経皮曝露の測定をさらに10人~20人程度行う。また実態調査において、放散量の測定も行い、他の曝露経路も含めた曝露評価を行う。また、実際の皮膚への吸着量と濾紙への吸着量の違いについて検討し、本サンプリング結果と実際の経皮曝露量の補正ができるようにする。また、皮膚透過モデルを構築し、経皮曝露量の推定を行う。
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