年度当初に設定した以下の三つの問い答えるべく研究を進めた。 問い1 IoTに供するためにコンテクスト記述:BIMは建築の設計・施工において、建築の構成を定義していくことを主眼にしているのに対し、IoTのプログラムでは、センサーの位置や、人・エージェントの所在に関する情報を必要とする。そのためには、単位空間、及び単位空間における部位という概念がデジタル・データを用いて記述されなければならない。そこで、BIMに所収されているデータを、如何に利活用すれば、これらを記述できるようになるのか、BIMデータを、一旦、空間記述共通メタデータに変換することを前提に、試行錯誤を重ねた。 問い2 コンテクスト記述に活用するBIMデータの同定:問い1にかかわる概念的検討と並行して、①換気調整のためのCO2センサーのデータ、及び②振動特性解析のための加速度センサーのデータと、空間情報をどのように紐つければよいのか、そのためには、BIMにはどのような形状情報と属性情報が入力されていなかればならないのかを検討した。また、③室内所在把握、及び④室内移動誘導のためには、人に附帯したセンサーからのデータや機器からの信号と、空間情報をどのように紐つければよいのか、BLEなど各種の位置・所在同定のための諸手法を試行しつつ検討した。 問い3 BIMからIoTの切れ目のないデジタル・データの処理手順:問い1、2への検討結果を踏まえ、IoTにおけるコンテクスト情報として活用するためには、どのようなデータがBIMに入力されていなかればならないのか、またIoTの用途に応じて、どのような概念・粒度の空間情報をどのようにBIMから抽出しなけらばならないのかについて、その手順を整理した。
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